水の濁りを定量的に表したもの。水に濁りを与える成分の起源としては,地表の粘土性物質,土壌粒子,粒子状の有機性物質,プランクトンやその他微生物,都市下水や産業排水の浮遊物質,水域の底質から浮上してくる物質などがある。これらの濁度成分は,きわめて微細なコロイド物質から比較的大きな粒子まで広範囲の分布をしており,定量に当たっては透視比濁法によるか光学的測定法を利用している。濁度の測定には,標準濁度物質としてカオリン(白陶土)かホルマジン高分子が使用され,カオリン1mgを蒸留水1lに含む場合の濁りを1度(1°)と定義している。カオリンを標準物質とする濁度は,一般に濁りの高い水を測定する場合に適し,一方,ホルマジン高分子を利用する濁度は,濁度の低い水を精確に測定する場合に利用される。ホルマジン高分子は,硫酸ヒドラジニウムとヘキサメチレンテトラミンを混合して形成され,測定には反射光測定の光電光度計を利用する。単位としてはNTUが用いられる。
濁度は,上水道や産業用水において,原水の選定,浄水プロセスの組合せ,凝集沈殿やろ過の設計操作,水質の自動測定,監視などの重要な指標として用いられている。日本の水道原水基準では,濁度が年最高30°を超える場合,ろ過処理の前に薬品凝集沈殿プロセスが必要とされている。また飲料水の基準では2°以下と定められている。
執筆者:松井 三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
用水,廃水などの濁りの試験に用いられる単位.62~74 μm の白陶土(精製カオリン)粒子1 mg を水1 L に含むものの濁度を1とし,光の透過や散乱の程度を光学的に測定し,比較することにより求める.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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【水汚染の指標】
汚染指標は水環境の状態をあらわすとともに,発生源と影響とを関係づける役割をもつ。測定技術上の制約または簡便さのため,代用指標,間接指標や潜在汚濁度なども用いられる。指標値は特別の場合を除いてppm(mg/l),ppb(μg/l)などの濃度で表示される。…
※「濁度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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