濃縮ウラン(読み)のうしゅくウラン(英語表記)enriched uranium

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

濃縮ウラン
のうしゅくウラン
enriched uranium

天然ウランに比べて,核分裂同位体のウラン235濃度を高めたウラン天然ウラン中のウラン235の濃度は 0.72%であるが,六フッ化ウランを使用したガス拡散法遠心分離法などによってその濃度を高めることができる。濃縮度が大きいと臨界量が低くなり,原子炉設計の融通性が高まる。商用原子炉として代表的な加圧水型原子炉沸騰水型原子炉では,濃縮度 3~4%程度の低濃縮ウランが使用されている。核兵器には濃縮度 90%以上の高濃縮ウランが使われる。

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デジタル大辞泉の解説

のうしゅく‐ウラン【濃縮ウラン】

天然ウラン中に0.72パーセントしか含まれていないウラン235の濃度を人工的に高めたウラン。軽水炉では2~4パーセントに濃縮したものが使用される。濃縮の方法には、ガス拡散法・遠心分離法・イオン交換法などがある。EUenriched uranium)。→高濃縮ウラン低濃縮ウラン

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百科事典マイペディアの解説

濃縮ウラン【のうしゅくウラン】

3種の同位体(質量数234,235,238)からなる天然ウラン中に存在する核分裂性の235Uの比率(0.72%)を人工的に高めたウラン。235Uの百分率を濃縮度といい,数%の低濃縮ウランから90%前後の高濃縮ウランまで種々ある。気体状の六フッ化ウランUF6を多孔質の壁を通して拡散させ,ウランの質量差から生じる拡散速度の差を利用して235Uの濃度を高め,この過程を数千回繰り返し濃縮ウランを得るガス拡散法のほか,円筒に六フッ化ウランガスを流し込み,円筒を高速で回転させ,円筒壁に重い238Uが押しやり,中心部に235Uを集めるガス遠心分離法が開発された。この方法だと円筒の周速を毎秒400mくらいで27回ほど操作すると,約5%濃縮ウランが得られる。電力も拡散法の1/10ですむが,円筒に送り込むガス量が少ないので多数の遠心分離機が必要となる。生産費は高価だが,中性子を吸収する238Uが少ないため核燃料として原子炉を小さく,設計を容易にする利点があり,動力用原子炉等に多用。濃縮されたウランはUF6で気体状態であるから二酸化ウランUO2(粉末状)に再転換し原子炉燃料にする。
→関連項目核燃料増殖炉転換炉劣化ウラン

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大辞林 第三版の解説

のうしゅくウラン【濃縮ウラン】

核燃料となるウラン二三五の存在比を、天然のウラン中の存在比0.71パーセントより高くしたもの。原子爆弾には存在比93パーセント以上、一般の動力炉には3~4パーセントのものが使われる。

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精選版 日本国語大辞典の解説

のうしゅく‐ウラン【濃縮ウラン】

〘名〙 (ウランはUran) 核分裂を起こすウラン二三五の濃度を人工的に高めたウラン核燃料。天然ウラン中の存在比〇・七二パーセント以上のウラン二三五を含有する。核燃料用。〔現代日本技術史概説(1956)〕

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化学辞典 第2版の解説

濃縮ウラン
ノウシュクウラン
enriched uranium

天然ウランに含まれる核分裂性の235Uの同位体存在度は0.71% にすぎない.そこで核分裂連鎖反応を起こしやすくするために,同位体効果を利用して人工的に235Uの含有率を高めたものをいう.一般に,ガス拡散法を用いて濃縮を行っているが,これは,約60 ℃ で六フッ化ウランの気体を隔膜に通すと,通過した気体中に235Uが濃縮されるという原理にもとづく.濃縮度が増すにつれて,含有率1% 以下のものを微濃縮ウラン(slightly enriched uranium),数% 以下のものを低濃縮ウラン(low enriched uranium),90% 以上に達するものを高濃縮ウラン(highly enriched uranium)とよんで区別する.また,EU,SEU,HEUなどの記号によって,それらのだいたいの濃縮度を示すこともある.

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世界大百科事典内の濃縮ウランの言及

【ウラン】より

…天然に存在するウラン(天然ウラン)は,質量数234,235,238の3種の同位体から構成されており,これに含まれる核分裂性の235Uの割合はわずか約0.7%にすぎず,約99.3%は非核分裂性の238Uである。ウラン濃縮によって235Uの割合を高めたものを濃縮ウランenriched uraniumと呼ぶ。天然ウラン,濃縮ウランはともに核燃料として使用される。…

【核燃料サイクル】より

…日本では,新型転換炉とよばれる原子炉がこのために運転中である。
[燃料ウランの種類による違い]
 原子炉の設計・運転の考え方によって核燃料サイクルの基本構成が変わってくるいま一つの点は,その原子炉で用いられるUが天然ウランか濃縮ウランかの違いである。軽水炉では中性子が減速材である軽水に吸収されむだに消費される割合が高いため,中性子の発生割合を高めておく必要があり,235Uの比率が2~3%の濃縮ウランを用いる。…

【原子力】より

…核分裂現象発見の論文が発表されたのが1939年1月で,科学者を代表してアインシュタインがローズベルトへ書簡を送ったのが同年8月であった。 マンハッタン計画では,まず,235Uの濃度の高い濃縮ウランをつくることが最大の課題となった。何百例という技術的方法が検討され,最終的に1944年,ガス拡散法とよばれる方法の開発に成功,翌45年,テネシー州オーク・リッジのウラン濃縮工場から最初のガス拡散法による濃縮ウランが送り出された。…

※「濃縮ウラン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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