火罪(読み)カザイ

デジタル大辞泉 「火罪」の意味・読み・例文・類語

か‐ざい〔クワ‐〕【火罪】

戦国江戸時代に行われた刑罰の一。罪人を市中引き回しのうえ、火あぶりにした刑罰。キリスト教信者やその他重罪人に対して行ったが、寛保2年(1742)以降は放火犯にのみ適用

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精選版 日本国語大辞典 「火罪」の意味・読み・例文・類語

か‐ざいクヮ‥【火罪】

  1. 〘 名詞 〙 戦国から江戸時代の刑罰の一種。キリシタン教徒、その他の重罪人にも科せられたが、江戸幕府では、寛保二年(一七四二)の御定書以後は放火犯にだけ適用され、報復的刑罰となった。犯人を江戸市中引き回しのうえ、浅草品川刑場に連行し、輪竹の中に入れて柱に結びつけ、薪を四方に積んで焼き殺した。火焙(ひあぶ)り。火刑。焚刑(ふんけい)
    1. [初出の実例]「近年乞食の内に火付多く有て火罪に成たるも」(出典:政談(1727頃)一)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「火罪」の意味・わかりやすい解説

火罪
かざい

火焙 (ひあぶり) ,焚刑 (ふんけい) ともいう。江戸時代の刑罰の一つ。罪人を火であぶって死にいたらしめること。火焙そのものは戦国時代より行われていたが,火罪として整えられたのは江戸時代に入ってからである。『公事方御定書』によると,これが科せられるのは火付け (放火) を行なった者のみであり,その処刑引廻 (ひきまわし) のうえ,小塚原 (千住) ,あるいは鈴ヶ森 (品川) において行うが,在方の場合は火付けした場所へ送ってすることもあるとしている。また,火罪には必ず田畑家屋敷家財没収と引廻とが付加され,その焚骸獄門と同様そのままにして3日2夜さらされた。

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世界大百科事典(旧版)内の火罪の言及

【闕所】より

…私的に所持する財産を官没するもので,公的な支配権の召上げは改易(かいえき)と呼び区別した。《公事方御定書》によれば,鋸挽(のこぎりびき),磔(はりつけ),獄門,火罪,斬罪,死罪,遠島および重追放の諸刑には田畑,家屋敷,家財の取上げが,中追放には田畑,家屋敷の取り上げが,軽追放には田畑の取上げがそれぞれ付加される。これを欠所と称し,武士,庶民を通じて適用したが,扶持人の軽追放においてはとくに家屋敷のみの欠所とする。…

【火焙】より

…火罪(かざい),火刑,焚刑(ふんけい)ともいい,罪人を焼き殺す刑罰。前近代には世界の各地で行われ,とくにヨーロッパにおいて異端,魔女など宗教上の犯罪に科せられた歴史は名高い。…

【放火】より

…これは火付札と呼ばれる高札(こうさつ)の示すところで,常時高札場に掲げられていた。一方《公事方御定書(くじかたおさだめがき)》によれば,放火犯には引廻しの上火罪(かざい)(火焙(ひあぶり))の厳刑が科せられた。ただし火を付けても燃え立たなかった場合には,引廻しのうえ死罪とし,また人に頼まれ放火した者は死罪,その依頼人を引廻しのうえ火罪に処した。…

※「火罪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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