(読み)ハン

デジタル大辞泉 「煩」の意味・読み・例文・類語

はん【煩】[漢字項目]

常用漢字] [音]ハン(漢) ボン(呉) [訓]わずらう わずらわす
ハン
事が多くてうるさい。わずらわしい。「煩瑣はんさ煩雑煩多煩忙煩累煩労
思い悩む。「煩悶はんもん
ボン俗念で心を惑わす。「煩悩

はん【煩】

わずらわしいこと。面倒なこと。「に堪えない」「をいとわず」

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精選版 日本国語大辞典 「煩」の意味・読み・例文・類語

うるさ【煩】

  1. ( 形容詞「うるさい」の語幹 )
  2. 品格、心ばえ、技巧などがすぐれていること。りっぱなこと。巧みなこと。
    1. [初出の実例]「いとかしこき人の、末の世にあまるまで、才たぐひなく、うるさながら人としてかく難なき事はかたかりける」(出典:源氏物語(1001‐14頃)野分)
  3. わずらわしいこと。いとわしいこと。〔名語記(1275)〕

はん【煩】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) わずらわしいこと。うるさいこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「衣服を得るの術復た従前の煩に似ず」(出典:日本開化小史(1877‐82)〈田口卯吉〉一)
    2. [その他の文献]〔孟子‐滕文公・上〕

わずらわわづらはし【煩】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙わずらわしい(煩)

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普及版 字通 「煩」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 13画

[字音] ハン・ボン
[字訓] わずらう・なやむ・わずらわす

[説文解字]

[字形] 会意
火+頁(けつ)。頁は儀礼のときの姿。〔説文〕九上に「熱にて頭痛むなり」とするが、この火は身熱ではなく、人に加えるものである。また「一に曰く、焚(ふん)の省聲なり」とするが声が遠く、火・頁の会意とみるべきである。火は重大な儀礼のとき、修祓の方法として用いるもので、赤は人に火を加える形、赦は攴(ぼく)を加えて罪を赦免する方法をいう。頁は中の儀礼のときの姿であるから、それに聖火を加える煩は、煩労を去るときの方法であろう。転じて煩労そのものをいう。

[訓義]
1. わずらう、なやむ、つかれる。
2. わずらわす、手かずをかける、めいわくさせる。
3. みだれる、うごかす、はげしい。

[古辞書の訓]
名義抄〕煩 ワヅラフ・ワヅラハシ・イタツカハシ 〔立〕煩 ワヅラハシ・イタハシク

[語系]
煩biuan、(憤)biunは声義が近く、また忿phiun、悶mun、懣muanもその系統の語である。〔玉〕に「煩は悶煩亂なり」とあり、一系の語を以て解する。(繁)biuan、(頻)bienは、繁多の意において通ずる。

[熟語]
煩穢・煩煩紆・煩鬱煩慍・煩・煩煩苛・煩・煩懐煩簡・煩偽・煩急・煩襟・煩苦・煩刑・煩劇・煩・煩言・煩獄煩瑣・煩砕・煩細・煩察・煩雑・煩手煩愁・煩暑煩冗・煩蒸煩擾煩辱煩縟・煩心・煩煩舛・煩促・煩多・煩重煩黷・煩・煩毒・煩熱・煩費・煩文・煩暴・煩法煩懣・煩務煩悶煩憂・煩乱・煩慮・煩累・煩礼・煩労・煩猥・煩惑・煩・煩悩
[下接語]
厭煩・苛煩・煩・刑煩・劇煩・囂煩・昏煩・絮煩・省煩・冗煩・擾煩・心煩・治煩・黷煩・頻煩・紛煩・累煩・労煩

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