体温の調節機能が低下して生じる体の不調。高い温度や湿度の影響で体内の水分、塩分のバランスが崩れることで起きる。目まいや頭痛、吐き気のほか、けいれんや意識障害を起こすこともあり、ひどい場合は死に至る。炎天下の活動時だけでなく、屋内で安静にしていても発症することがある。総務省消防庁によると、2022年5~9月の熱中症による救急搬送者数は全国で約7万1千人。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
熱中症は、運動や暑熱から起こる体の障害の総称です。
医学的にいう熱射病は、
人間の体は、皮膚からの放熱や発汗によって体温を下げますが、外気が皮膚温以上の時や湿度が非常に高いと、放熱や発汗ができにくくなり、熱中症を引き起こします。
基礎疾患のある高齢者や肥満、糖尿病の患者さん、アルコール依存症の患者さんは、熱射病に陥りやすいとされています。異常な熱波に見舞われた年に多くの高齢者に発生したという報告や、
一方、死に至ることもある最重症の熱射病には、素因(もともとの体質)が関係するとする考え方があります。
その論拠は、スポーツ医学の発達で指導管理を徹底しても熱射病が発症すること、また熱射病は、麻酔により異常な高体温となる悪性高熱症と、その病態がよく似ていることにあります。悪性高熱症は、骨格筋の
熱中症は、軽症の熱けいれん、中等症の
症状は、頭痛や疲労感を主とすることから、俗に「暑気あたり」といわれる状態や、筋肉がこむら返りを起こす熱けいれん、脱水が主体で頭痛や吐き気をもよおす熱疲労、体温が40℃を超え、意識がなくなる最重症の熱射病までさまざまです。
①熱けいれん
大量の発汗に対し、水分のみを補給した際に起こりやすく、相対的な塩分の不足が原因とされています。そのため、生理的食塩水や乳酸加リンゲル液の点滴静注を行います。
②熱疲労
脱水症の一種ですが、体温調節機能が残されているため、発汗は持続し、体温もそれほど上昇していません。生理的食塩水や乳酸加リンゲル液の点滴静注と鎮痛薬の投与で効果がありますが、脱水の補正に時間がかかるため、入院のうえ治療を行います。
③熱射病
視床下部の体温中枢や汗腺の機能が衰退して深部体温は40℃以上になり、緊急性の高い状態です。
血液学的には消費性凝固障害(凝固因子が消費され、出血傾向が出現する)を認め、生存例でも高率に
集中治療室に収容し、①身体冷却、②体液・電解質の補正、③抗けいれん薬、
基本は以下の3つです。
①休息
体を冷却しやすいように衣服をゆるめ、安静にします。
②冷却
涼しい場所で休ませます。風通しのよい日陰、クーラーの効いた部屋に移動します。
また、
③水分補給
意識がはっきりしていれば、水分補給(スポーツドリンク)を行います。意識障害や吐き気がある場合は、医療機関での輸液が必要で、救急車を呼んで至急医療施設へ搬送します。
吉岡 敏治
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
(星野美穂 フリーライター/2018年)
(鈴木正成 早稲田大学スポーツ科学学術院特任教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
高温下での労働といった職業的原因で起こる熱射病をいう。日本でも,かなり昔から〈よろけ〉という名称で,鉱山等の高温多湿の環境で働く作業者によく起こった熱中症が記載されている。ごく最近まで高熱のもとでの作業は,鉱山,製鉄,紡績工場,ボイラー室等においてよくみられたが,今日では技術革新によって高温作業の内容が変化するとともに,高温にさらされる時間の減少,冷房設備の設置等により,かつてのような極端な作業環境は少なくなってきた。しかしながら異常温度条件による業務上の疾病件数は決して現在でも少なくない。予防対策としては,第一に作業環境の温湿度条件を許容基準以下にし,熱放射の防御,労働時間の制限,適正な休憩時間の設定などによって体温の恒常性を保証し,個人防御として保護具の着用,水分・塩分の補給を行う。また,とくに循環器・腎機能障害のある者にとっては,高温条件下の作業は有害である。
執筆者:村上 正孝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…高熱の環境に暴露されることによって起こる疾患。高熱条件下での作業といった職業的原因によるものの場合熱中症ということが多く,太陽の直射を受けて発症する場合は日射病といって区別する。人体は,これをとりまく外気温の上昇にともなって末梢循環血液量が増加し,外気と直接に接している皮膚からの放射,対流によって放熱効果をあげているが,38~39℃を超えると,発汗作用による放熱が主力となる。…
※「熱中症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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