翻訳|heat stroke
高熱の環境に暴露されることによって起こる疾患。高熱条件下での作業といった職業的原因によるものの場合熱中症ということが多く,太陽の直射を受けて発症する場合は日射病といって区別する。人体は,これをとりまく外気温の上昇にともなって末梢循環血液量が増加し,外気と直接に接している皮膚からの放射,対流によって放熱効果をあげているが,38~39℃を超えると,発汗作用による放熱が主力となる。しかし,これも限度を超えると,外気温の上昇にしたがって,軀幹内部の体温も上昇せざるをえなくなり,その結果,発汗によって,体液中の水分および塩類の著しい損失をまねくとともに,血管調節の不安定をもたらし,脳をはじめとする身体全体の血液循環が円滑に行われなくなる。前駆症状として,頭重,倦怠,疲労,あくび,めまい,四肢の運動の困難が起こり,さらに痙攣(けいれん),虚脱が起こって意識障害におちいる。体温が高いほど予後は不良であるが,安静にして熱放散をはかる。水分・塩類の補給も欠かせない。
執筆者:村上 正孝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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高温多湿下の労働時に外界への熱放散が困難なために発病する疾患をいい、現在では日射病とともに高温障害の一病型とされている。
[重田定義]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…好ましい相対湿度は40%から60%の範囲であり,低湿度が続くと肌や咽喉が荒れ,風邪にかかりやすくなるなどの傾向が増す。逆に高温多湿では発汗による放熱量が減少するために不快となり,極端な場合には熱射病に至ることもある。不快指数=0.72(乾球温度+湿球温度)+40.5は気温と湿度の2要素で決まり,75または80が限界とされている。…
…高温下での労働といった職業的原因で起こる熱射病をいう。日本でも,かなり昔から〈よろけ〉という名称で,鉱山等の高温多湿の環境で働く作業者によく起こった熱中症が記載されている。…
※「熱射病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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