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高温障害 こうおんしょうがい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

高温障害
こうおんしょうがい

体温の放散が不十分か,周囲の温度が体温より高いときに,生体が過温状態になって起る。代表的なものが日射病熱射病 (熱中症ともいう) である。日射病は日光の直射を頭部,項部に受けて起り,熱射病は温熱のなかで労働しているときに起るが,両者の病態生理は同一で,治療も同様に行われる。症状は,深部体温が 40℃以上に上昇し,高熱にもかかわらず皮膚が乾燥し,紅潮しており,発汗は少い。この時期に通風のよい,涼しい場所に移すと症状は軽快するが,体温が 42℃以上になって人事不省に陥った場合は,氷水の全身浴などを行なって,できるだけ早く体温を下げる。なお,熱射病と似たものに熱虚脱がある。これは,慣れない高温環境で活動する際に一種の血液循環不全現象を起すもので,女子に多い。高度の疲労感,頭痛,吐き気などを訴え,大量の発汗をみ,最後に失神する。このほか,熱けいれんや熱傷も高温障害である。

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デジタル大辞泉の解説

こうおん‐しょうがい〔カウヲンシヤウガイ〕【高温障害】

熱中症

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

高温障害
こうおんしょうがい

高温度下の労働や運動によって体温調節や循環器系の機能が損なわれたり、水分や塩分などの代謝のバランスを失ったりしておこる障害をいい、熱中症ともよばれる。発生機構の相違から次の三つの病型に大別される。[重田定義]

熱けいれん症

ボイラーなどの火を扱う作業者や坑内作業者によくおこる。筋肉重労働者に典型的な病型であり、職場でもっとも多くみられる。多量の発汗から体内の塩分が欠乏し、そのために血液中の電解質(とくにナトリウムイオン)のバランスが崩れることが原因で、筋肉(とくにその作業によく使われる筋群)のけいれんが特徴である。治療には生理的食塩水の静脈注射が効果的である。[重田定義]

熱虚脱

体熱を放散させるために皮膚血管が拡張すると、血液が皮膚に集中して体内の重要な器官への血液供給が不足することが原因で、血圧降下、脈拍微弱がみられるのが特徴である。そのほか、脱力感、めまい、失神などの症状もみられる。治療としては、涼しい場所で安静にさせ、場合によっては強心剤や生理的食塩水の注射をする。[重田定義]

熱射病

日射病、うつ熱症ともよばれ、体温調節中枢の失調が原因で、体温が上昇(ときには41℃に達する)し、しかも発汗がないことが特徴である。頭痛、めまい、耳鳴りなどに続いて意識障害、昏睡(こんすい)状態になることが多く、重症の場合の致命率は高い。治療としては、速やかに体温を下げることがたいせつで、体温の上昇がひどい場合は全身を氷水につけ、3分ごとに体温を測る方法もとられる。応急処置としては、日陰の風通しのよいところに寝かせ、衣服を緩め、冷水で体をふき、タオルなどであおいで風を送る。[重田定義]

予防

高温障害の予防法としては、(1)通風換気、遮熱設備などの環境条件の改善、(2)作業の機械化、作業時間の短縮、休憩などの作業負担の軽減、(3)循環器異常者など高熱作業不適格者への配慮、(4)食塩の補給、ビタミンBやCの補給、防熱服着用などの個人対策も必要である。なお高温障害の発現には、服装、作業または運動状況、睡眠不足、疲労などの個人的身体的条件も誘因となるので注意する。いわゆる「夏ばて」も慢性の高温障害の一種である。[重田定義]

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