菊池寛(かん)の戯曲。一幕。1917年(大正6)1月『新思潮』に発表。19年8月、武田正憲(せいけん)らにより赤坂ローヤル館で初演されたが評判とはならず、20年10月、2世市川猿之助(えんのすけ)の春秋座旗揚げ公演に新富座で上演され、好評を博した。明治末ごろの南海道の小都会にある中流階級の家が舞台で、母、長男、次男、長女の4人暮らしの平和な家庭に、20年前情婦と出奔した父親が落ちぶれて帰ってくる。母と次男は年老いた父を迎え入れようとするが、父親がわりに苦労してきた長男は怒りを爆発させる。父はうなだれて家を出ていくが、母と妹の哀願する眼(め)をみて長男は父を呼び戻す。イギリスの劇作家ハンキンの『蕩児(とうじ)帰る』をヒントに書いたが、肉親間の愛憎をテーマに、簡潔な構成と巧みな反転により、近代一幕物の代表作となった。
[藤木宏幸]
『『父帰る・屋上の狂人』(新潮文庫)』▽『『父帰る・恩讐の彼方に』(旺文社文庫)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新