罰金以上の刑にあたる罪を犯した者または拘禁中逃走した者を蔵匿しまたは隠避させる罪。刑は2年以下の懲役または20万円以下の罰金(刑法103条)。親族がそれらの者の利益のためにみずから犯した場合は,犯すなという禁止に従うことを要求することが人情的に酷であることにかんがみ,刑が免除されうる(105条)。
罰金以上の刑にあたる罪を犯した者とは,法定刑に罰金以上の刑の規定されている犯罪を実際に行った真犯人を意味することは疑いないが,その嫌疑による捜査または訴追を受けている者まで含むか否かは見解が分かれる。刑事司法作用の阻害行為の処罰という本罪の立法趣旨を拡張的に解する判例・学説の一部は積極に解するが,近時は消極説も有力である。消極説を採る場合,嫌疑は受けているが真犯人ではないと確信した場合や真犯人かどうか疑問をもつ場合の故意の成否が,とくに問題となるが,真犯人かもしれないことの認容の程度に従って判断すれば足るとすれば,上の対立はあまり大きな意味をもたなくなる。拘禁中逃走した者とは,法令による拘禁を破って逃走した者をいう。逃走が犯罪を構成する必要はない。蔵匿とは,官憲の発見・逮捕を免れるべき場所を提供してかくまうことであり,隠避させるとは,変装させる,逃避の便宜を与える,身代り犯人をたてる,告訴や告発を断念させる等,蔵匿以外の方法で官憲の発見・逮捕を免れしめるいっさいの行為をいう。自首を説得するための蔵匿,隠避行為は,行為者の意図や行為態様により,可罰的違法性を欠く場合もありうる。
執筆者:伊東 研祐
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国家の刑事司法作用を害する罪の一種。罰金以上の刑(法定刑)にあたる罪を犯した者または拘禁中に逃走した者を蔵匿したり、隠避させる罪で、2年以下の懲役または20万円以下の罰金に処せられる(刑法103条)。「罪を犯した者」とは、犯罪の嫌疑により捜査中の者を含むと解する見解があるが、真犯人か、少なくとも真犯人であると疑うに足りる者に限定されるべきであろう。「蔵匿」とは、官憲の発見・逮捕を免れる場所を提供することをいい、また「隠避させる」とは、蔵匿以外の方法、たとえば逃走に必要な旅費を支給するとか、変装用の衣類・装身具等を供与するとか、身代り犯人として虚偽の申告をするなど、官憲の発見・逮捕を免れさせる行為をさす。
[名和鐵郎]
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