玉手箱(読み)タマテバコ

デジタル大辞泉の解説

たま‐てばこ【玉手箱】

美しい手箱。特に、浦島太郎が、竜宮の乙姫(おとひめ)からもらって帰ったという箱。
秘密にして、容易には人に見せない大切なもの。
(比喩的に)すばらしいもの、珍しいものが多くあることをいう。「工芸館は技術の美の玉手箱

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大辞林 第三版の解説

たまてばこ【玉手箱】

浦島太郎が、竜宮の乙姫から贈られた箱。開いてはならないという禁を破って開き、浦島は老人となった。
〔軽々しく開いてはならない大切な箱、の意から〕 秘密にして人にあかさない大切なもの。
何が出てくるかわからないもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

玉手箱
たまてばこ

昔話。異郷から得た不思議な力をもつ道具を主題にした宝物譚(たん)の一つ。竜宮(水中の異郷)を訪問した土産(みやげ)にもらってくる宝物で、宝物の種類により、それぞれ独立した類型の昔話として扱われている。玉手箱は「浦島太郎」の物語で知られている。竜宮の乙姫(おとひめ)から開けてはならないといって渡された玉手箱を開けると、中から白い煙が出て、太郎は急に老人になったという。異郷と現世との時間の単位の違いが玉手箱の中に込められていたような語り方であるが、本来は、霊魂を身体の外に置くことによって不死身を得るという外魂(がいこん)の信仰を基盤にした話で、おそらく玉手箱は外魂の入れ物であろう。奈良時代の『丹後国風土記(たんごのくにふどき)』(逸文)の水江(みずのえ)の浦の嶼子(しまこ)の物語にも、「玉匣(たまくしげ)」(りっぱな櫛(くし)入れ。女性の化粧道具入れ)としてみえる。ほかに、竜宮から聴耳(ききみみ)の玉などをもらってくる「聴耳」、不思議な子供や犬をもらってくる「竜宮童子」などの昔話もある。『古事記』『日本書紀』にみえる「海幸山幸(うみさちやまさち)」の物語では、竜宮で山幸が、潮満つ玉と潮干る玉という潮の干満が自在にできる宝物をもらってきて、兄の海幸を降伏させる話になっている。岩手県奥州(おうしゅう)市などには、竜宮から雨を降らせる玉をもらってきた話がある。これらは水神の世界から水を支配する宝物を得る物語である。竜王の娘と結婚していた漁夫が、開けるなといって竜女から渡された宝箱を開けたために竜宮に帰れなくなったという話は朝鮮にもあり、『今昔(こんじゃく)物語集』に和訳されている『大唐西域記(だいとうさいいきき)』の竜宮伝説にも宝剣入れの箱がみえ、和文では「玉の箱」とある。玉手箱のイメージは中国の説話を経由して形成されたものである。竜宮など超自然的な世界から不思議な宝物をもらう話は東アジアをはじめ諸国にも知られており、昔話を構成する重要な要素になっている。[小島瓔

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世界大百科事典内の玉手箱の言及

【箱】より

…〈眉造箱,歯黒箱,元結箱,鏡箱,釵子(さいし)箱,櫛掃(くしはらい)箱,櫛箱,白粉箱,爪切箱,熨斗(のし)箱,かもじ箱,硯箱,料紙箱を収め,万葉集抄,後選集抄,古今集とを収納する〉とある。なお,玉手箱は手箱の美称である。代表的な遺品に東京国立博物館の片輪車蒔絵螺鈿手箱(平安時代。…

※「玉手箱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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