将軍足利義持の命で,「瓢箪(ひょうたん)で鯰(なまず)を捺えるには?」という題に,如拙(じょせつ)が画を描き,大岳周崇(だいがくしゅうそう)ら五山の禅僧31人が賛を寄せたもの。応永年間(1394~1428)の制作。当初は小型の衝立屏風の表裏に画と賛が書かれたが,のち詩画軸の形式に改装。異形の男が瓢箪を手に水中の鯰を捕らえようとする場面が滑稽に描かれ,詩も軽妙な機知に富む。禅の問答になぞらえた,義持周辺の文雅の集いのなかでの知的遊戯の産物。紙本墨画淡彩。退蔵院蔵。縦111.5cm,横75.8cm。国宝。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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…《三教図》(両足院)に著讃している絶海中津の讃文によれば,〈大巧は拙なるが如し〉の意から大巧如拙の名を得たという。代表作《瓢鮎(ひようねん)図》(退蔵院)は,足利将軍(義満あるいは義持)が〈如拙をして座右の小屛に新様をもって画かせた〉ことが讃文に記されている。現存作品は少ないが,当時舶載移入されていた中国南宋時代の院体画風を意識的に取り入れて作画したことが知られ,周文以下雪舟にいたる室町水墨画の先駆者として位置づけることができる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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