瓢鮎図(読み)ヒョウネンズ

デジタル大辞泉 「瓢鮎図」の意味・読み・例文・類語

ひょうねんず〔ヘウネンヅ〕【瓢鮎図】

水墨画如拙筆。応永22年(1415)以前の作。将軍足利義持の命により、瓢箪ひょうたんなまずを押さえるという禅の公案を描いたもの。図上に大岳周崇ほか30人の禅僧がある。京都妙心寺退蔵院蔵。国宝

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精選版 日本国語大辞典 「瓢鮎図」の意味・読み・例文・類語

ひょうねんずヘウネンヅ【瓢鮎図】

  1. 詩画軸。一幅。室町時代の作。紙本墨画淡彩。絵は如拙(じょせつ)筆で瓢箪(ひょうたん)で鮎(なまず)を押えるという禅の公案を表わした水墨画。図上に全愚周崇の題詞、玉畹梵芳以下三〇人の賛がある。京都妙心寺塔頭退蔵院蔵。国宝。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「瓢鮎図」の解説

瓢鮎図
ひょうねんず

将軍足利義持の命で,「瓢箪(ひょうたん)で鯰(なまず)を捺えるには?」という題に,如拙(じょせつ)が画を描き,大岳周崇(だいがくしゅうそう)ら五山の禅僧31人が賛を寄せたもの。応永年間(1394~1428)の制作。当初は小型の衝立屏風の表裏に画と賛が書かれたが,のち詩画軸の形式に改装。異形の男が瓢箪を手に水中の鯰を捕らえようとする場面が滑稽に描かれ,詩も軽妙な機知に富む。禅の問答になぞらえた,義持周辺の文雅の集いのなかでの知的遊戯産物。紙本墨画淡彩。退蔵院蔵。縦111.5cm,横75.8cm。国宝。

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旺文社日本史事典 三訂版 「瓢鮎図」の解説

瓢鮎図
ひょうねんず

室町初期,画僧如拙 (じよせつ) の水墨画
京都妙心寺退蔵院所蔵。1410年ごろ足利義持の求めで描いたもの。ひょうたんで鮎魚 (なまず) をつかまえるという禅宗の公案の一つを図示した禅機画で,水墨山水画の最初名作

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「瓢鮎図」の意味・わかりやすい解説

瓢鮎図
ひょうねんず

室町時代の画家如拙代表作で妙心寺退蔵院蔵。国宝。鮎は鯰 (なまず) 。瓢箪で鯰を押えるという禅の公案図で,もとは足利義持の座頭屏風。院体的な山水の構成が注目される。

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世界大百科事典(旧版)内の瓢鮎図の言及

【如拙】より

…《三教図》(両足院)に著讃している絶海中津の讃文によれば,〈大巧は拙なるが如し〉の意から大巧如拙の名を得たという。代表作《瓢鮎(ひようねん)図》(退蔵院)は,足利将軍(義満あるいは義持)が〈如拙をして座右の小屛に新様をもって画かせた〉ことが讃文に記されている。現存作品は少ないが,当時舶載移入されていた中国南宋時代の院体画風を意識的に取り入れて作画したことが知られ,周文以下雪舟にいたる室町水墨画の先駆者として位置づけることができる。…

※「瓢鮎図」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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