日本大百科全書(ニッポニカ) 「田老」の意味・わかりやすい解説
田老
たろう
岩手県中東部、下閉伊郡(しもへいぐん)にあった旧町名(田老町)。現在は宮古(みやこ)市の北部を占める地域。陸中海岸に臨む。1944年(昭和19)町制施行。2005年(平成17)宮古市に合併。国道45号、三陸鉄道リアス線が通じる。1896年(明治29)や1933年(昭和8)の三陸大津波で壊滅的被害を受けた町として知られるが、1958年(昭和33)に地上高7.7メートル、延長1350メートルの大防潮堤が完成した。増築後の1966年には総延長約2500メートルに達した。しかし、2011年の東日本大震災では、この大防潮堤を超える津波が到達し、甚大な被害を受けた。現在は新たな防潮堤の建設に加え、住民の高台移転などの対策がとられている。地域は漁業が主産業で、ワカメ、コンブ、アワビの養殖・増殖施設などがある。真崎(まざき)海岸、三王岩(さんのういわ)の景勝地や、ウミネコ繁殖地佐賀部(さかべ)は三陸復興国立公園(旧、陸中海岸国立公園)の一部。
[川本忠平]