民俗舞踊に発したとされる古代舞楽。古く,民間で行われていた田行事の歌舞が,宮廷にとり入れられたものと思われる。田儛とも書く。《日本書紀》天智天皇10年(671)5月5日条に〈天皇西の小殿に御し,皇太子と群臣と宴に侍ひ,ここに再び田儛を奏(つかえまつ)る〉とあるのが初見。749年(天平勝宝1)孝謙天皇の東大寺行幸時にも五節(ごせち)田舞が奏された(《続日本紀》)。大嘗会(だいじようえ)(大嘗祭)には田舞が奏されるのが例で,そのため雅楽寮では田舞師,田舞生が置かれていた。多治氏がその役であったともいう(《三代実録》)。のちに絶えたが1787年(天明7)の大嘗会に再興され,文政年間(1818-30)にも行われたが以後廃絶した。なお,大阪市住吉大社で6月14日に行われる御田植祭(国指定重要無形民俗文化財)に巫女(みこ)が田中の舞台で舞う巫女舞を田舞と称している。
執筆者:山路 興造
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