田舞(読み)タマイ

デジタル大辞泉 「田舞」の意味・読み・例文・類語

た‐まい〔‐まひ〕【田舞/田×儛】

五穀豊穣ごこくほうじょうを祈念して行われた古代儀式舞踊。民間の田仕事での歌舞が、宮廷に入って儀式化したもの。大嘗祭だいじょうさいのとき、主基すき方の人が奏したほか伊勢春日かすがなどの神社でも行われた。戦国時代に中絶し、今は大阪住吉大社など2、3の神社に名残を伝える。でんぶ

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精選版 日本国語大辞典 「田舞」の意味・読み・例文・類語

でん‐ぶ【田舞】

  1. 〘 名詞 〙たまい(田舞)

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改訂新版 世界大百科事典 「田舞」の意味・わかりやすい解説

田舞 (たまい)

民俗舞踊に発したとされる古代舞楽。古く,民間で行われていた田行事の歌舞が,宮廷にとり入れられたものと思われる。田儛とも書く。《日本書紀》天智天皇10年(671)5月5日条に〈天皇西の小殿に御し,皇太子群臣と宴に侍ひ,ここに再び田儛を奏(つかえまつ)る〉とあるのが初見。749年(天平勝宝1)孝謙天皇の東大寺行幸時にも五節(ごせち)田舞が奏された(《続日本紀》)。大嘗会(だいじようえ)(大嘗祭)には田舞が奏されるのが例で,そのため雅楽寮では田舞師,田舞生が置かれていた。多治氏がその役であったともいう(《三代実録》)。のちに絶えたが1787年(天明7)の大嘗会に再興され,文政年間(1818-30)にも行われたが以後廃絶した。なお,大阪市住吉大社で6月14日に行われる御田植祭(国指定重要無形民俗文化財)に巫女みこ)が田中の舞台で舞う巫女舞を田舞と称している。
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百科事典マイペディア 「田舞」の意味・わかりやすい解説

田舞【たまい】

古代の儀式舞踊の一種。民間の田植行事に行われていた歌舞を宮廷に取り入れ,大嘗会(だいじょうえ)などに行った。今日では大阪の住吉大社などに伝えられているにすぎない。

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