容疑者が事実関係を認めている比較的軽微な事件について、簡裁が正式な裁判を開かずに、100万円以下の罰金などを科す手続き。検察官が事前に容疑者の同意を得た上で、起訴と同時に簡裁へ請求する。簡裁が、略式命令は「不相当」だと判断した場合には正式裁判が開かれる。命令を受けた人も、14日以内に正式裁判を求めることができる。
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簡易裁判所が略式手続で発する命令をいう。略式手続とは、簡易裁判所が、原則として検察官の提出した資料のみに基づいて、公判を開かずに、略式命令により罰金または科料を科する手続であり、一般に略式裁判あるいは略式起訴ともよばれる。略式命令の請求は、検察官が、当該簡易裁判所の管轄に属する事件について、公訴の提起と同時に書面で行う(刑事訴訟法461条、462条)。その際、検察官は、被疑者に対して、略式手続を説明し、正式裁判を受けることができる権利を告知し、略式手続によることで異議がないことを確かめなければならない(同法461条の2第1項)。なお、2016年(平成28)の刑事訴訟法改正により導入された合意制度(同法350条の2)により、検察官が被告人の事件につき略式命令を請求することに合意した場合は、略式命令の請求と同時に合意内容書面を裁判所に差し出さなければならない(同法462条の2第1項)。
裁判所は、その事件が略式命令をするに相当と認めるときは、100万円以下の罰金または科料を科することができる。この場合、刑の執行を猶予することなどもできる(同法461条)。略式命令には、罪となるべき事実、適用した法令、科すべき刑および付随の処分、ならびに略式命令の告知があった日から14日以内に正式裁判の請求をすることができる旨を示さなければならない(同法464条)。裁判所は、略式命令の請求があった場合において、その事件が略式命令をすることができないものであり、またはこれをすることが相当でないものである(略式不相当)と考えるときは、通常の規定に従い、審判をしなければならない(同法463条1項)。正式裁判の請求により判決をし、この判決が確定したときは、略式命令はその効力を失う(同法469条)。略式命令は、正式裁判の請求期間の経過またはその請求の取下げにより、確定判決と同一の効力を生ずる。正式裁判の請求を棄却する裁判が確定したときも、同様である(同法470条)。
[内田一郎・田口守一 2018年4月18日]
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…現行法では,事後に正式裁判を請求することが認められていることに加えて,事前に被疑者の同意を得ることが必要とされることになったので,憲法の趣旨に反するものではないと考えられている。 手続は,検察官が簡易裁判所に対し,公訴の提起と同時に書面で〈略式命令〉を請求することにより開始される。検察官はあらかじめ被疑者に手続の趣旨を説明し,略式手続によることに異議がないか確かめたうえ,これを明らかにした書面を略式命令請求書に添付しなければならない。…
※「略式命令」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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