番太(読み)バンタ

デジタル大辞泉 「番太」の意味・読み・例文・類語

ばん‐た【番太】

江戸時代、町や村に雇われ、夜警や火事・水門などの番に当たった者。非人身分の者が多かった。
江戸で、自身番番人。任につきながら駄菓子玩具雑貨なども売った。番太郎

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精選版 日本国語大辞典 「番太」の意味・読み・例文・類語

ばん‐た【番太】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ばんたろう(番太郎)」の略 )
  2. 江戸時代、町村治安を守り、警察機構の末端を担当した非人身分の番人。平常は、番人小屋(番屋)に詰め、町村内の犯罪の予防、摘発やその他の警察事務を担当し、番人給が支給されていた。番非人。番太郎。番子。
    1. [初出の実例]「藁一束うつや番太が唐衣〈見石〉」(出典:俳諧・当世男(1676)秋)
  3. 特に、江戸市中に設けられた木戸の隣の番小屋に住み、木戸の番をしたもの。町の雇人で、昼は草鞋(わらじ)膏薬、駄菓子などを売り内職をしていた、平民身分のもの。番太郎。番子。
    1. 番太<b>②</b>〈街能噂〉
      番太〈街能噂〉
    2. [初出の実例]「番太がところで一トどら御用うち」(出典:雑俳・柳多留‐二二(1788))
  4. 乞食ものもらい。尾張国の村々では、万歳、大黒舞、踊りなどをして乞い歩いた者をいった。〔物類称呼(1775)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「番太」の意味・わかりやすい解説

番太
ばんた

江戸時代、町村に召し抱えられた見張り番の愛称。つまり見張り番を「番太郎」、あるいはその略の「番太」とよんだ。職務は、町によっては四つ辻(つじ)などにある番小屋の木戸番、あるいは火の番や夜番、村によっては山野水門の警備走り使い、夜番、浮浪者の取締りなどである。ただし、江戸の町では町方が自警組織の一つとして経営した自身番の番人をさす。この江戸の番太は平民で、自身番として勤めながらも駄菓子などを売る内職に励んでいたが、その他の所では非人身分の者が多く番非人ともいわれた。

[犬馬場紀子]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「番太」の意味・わかりやすい解説

番太
ばんた

江戸時代,町村において警備や火の番にあたった者をいう。江戸では番太郎という。地方によっては非人身分の者も多く,穴掘,火葬,行路死者の始末などにあたった。

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世界大百科事典(旧版)内の番太の言及

【番太郎】より

…江戸時代の町や村に置かれた番人のこと。番人を番太と呼ぶことは各地に広く見られるが,番太郎の称はこの番太から転じたものと考えられる。番人の性格は,都市と農村で,あるいは地域によってさまざまな違いがあり,江戸,大坂,京都の三都だけをとっても大きな差異がある。…

※「番太」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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