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痕跡器官 こんせききかん vestigial organ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

痕跡器官
こんせききかん
vestigial organ

本来もっていた機能を失い痕跡的に残存する器官。人の耳殻の筋肉,盲腸,洞窟昆虫やモグラの眼,クジラの後肢骨など。系統発生において,退化し機能を失ったと考えられる。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵2015の解説

痕跡器官

ある種や種のグループの器官が、近縁の動物のグループでは発達しているのに対し、いつまでも未発達の状態で、単に痕跡的に認められるにすぎないもの。この器官の働きは、発達した状態にあるものとは、非常に異なる場合がある。例えばヒトの耳介の筋肉はその例である。クジラ類の胚には四肢を示す4つの肢芽があり、前肢の2つはひれに変化するが、後肢は胚発生の間に急速に萎縮(いしゅく)し、ごく小さい不完全骨になるマッコウクジライルカではこうした骨の名残がもう少し発達して、後肢の痕跡器官として現れることもある。これらは、クジラ類が祖先の四肢動物から受け継いだ最後の痕跡といえる。

(小畠郁生 国立科学博物館名誉館員 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

こんせき‐きかん〔‐キクワン〕【痕跡器官】

その生物の祖先では機能していたものが、退化して跡だけ残っている器官。人間の虫垂尾骨や耳を動かす筋肉、クジラやニシキヘビ後ろ足など。生物の進化を推測する手がかりとなる。

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世界大百科事典 第2版の解説

こんせききかん【痕跡器官 vestigial organ】

生物体において,進化または飼育栽培の過程で十分発育しなくなり,同時に機能を失って,なごりをとどめるだけとなった器官。ある器官が進化的に発達しつつあるものか,退化しつつあるものかは,類縁の近い他種の生物のもつ相同器官と対比することによって間接的に知ることができる。 成体において無用化している痕跡器官には,動物ではヒトの尾椎,盲腸の虫垂,耳を動かす筋肉,ウシの犬歯,ウマの第3指以外の中足骨,モグラや洞穴性両生類の目,ウズラの前肢第1指のつめなど,植物ではキク科植物の花の中心部の花弁,雌雄異株植物の雄花にあるめしべなど,さまざまな次元で多数の例がある。

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大辞林 第三版の解説

こんせききかん【痕跡器官】

機能をほとんど、または全く失って形態的にも退化した器官。人の虫垂・尾骨、クジラの後肢、洞窟動物の目など。生物進化の推定に役立つ。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

痕跡器官
こんせききかん

生物体において、その正常な機能を営むまでに至らず、未発達または退化的形態として存在する器官をいう。成体に存在する器官ばかりでなく、個体発生の途中に一時的に存在して消失するもの、途中から別の機能をもつ器官に変化していくものも含められる。たとえば鰓裂(さいれつ)は水生脊椎(せきつい)動物では呼吸器官となるが、陸生脊椎動物では発生途中一時的に出現するものの、その後に胸腺(きょうせん)など別の機能をもつ器官に分化していく。ヒトには、耳殻筋、尾椎(びつい)骨、盲腸の虫垂など、100に近い痕跡器官が存在するといわれる。痕跡器官は、祖先の生物では機能をもち有用であったものの名残(なごり)、つまり、それが不用となって進化の過程で退化したが、完全に消失するまでに至らないものと説明されている。たとえば、現生のクジラには四足獣の後肢(こうし)骨に相当する骨片が肉の中に埋もれた状態で存在するが、これは、クジラの祖先が四足で歩いていたものの、長い海洋生活で不用になり退化したものの名残であると説明される。逆にいえば、退化した後肢骨の存在は、クジラが四足獣に由来するものであることを示す証拠ともなる。このように痕跡器官は、外見的に非常に異なった生物間の類縁の近さを判定する証拠となることも多い。[上田哲行]

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