発音(読み)はつおん

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

発音(生物)
はつおん

生物が能動的に音を出すことをいう。生物発音ともよばれる。発音は通常、発音する機構をとくに備えた器官、すなわち発音器官(発音器)によって行われる。[村上 彰]

発音器官

多くの脊椎(せきつい)動物と、昆虫類など一部の無脊椎動物に発音器官がみられる。哺乳(ほにゅう)類の喉頭(こうとう)が咽頭(いんとう)に通じる開口を声門という。声門の左右には、軟骨の間に張られた声帯という粘膜のひだがあり、声門を通過する空気によって声帯は振動し発音する。霊長類には、ホエザルのように声帯の近くに喉嚢(こうのう)という大きな袋をもち、これを共鳴させて大声を出すものがある。クジラ類は哺乳類であっても、声帯はない。しかし、ハクジラ類は憩室のひだを振動させて発音する。鳥類では喉頭の声帯は発達せず、気管が気管支に分かれる部位に半月形の膜があり、これを振動させて発音する。この部位を鳴管という。両生類には声帯があり、雄のカエルは鳴嚢を膨らませ、その共鳴を利用して大声で鳴く。爬虫(はちゅう)類は、ヤモリやガラガラヘビなどの例外を除いて発音しない。魚類は、胸びれや歯、咽頭歯などを摩擦させたり、うきぶくろの膜を筋肉によって振動させて発音する。無脊椎動物では昆虫類がよく発音する。コオロギのように前翅(ぜんし)どうし、前翅と後肢などをこすり合わせて発音するものや、セミのように鼓膜を筋収縮により振動させて鳴くものがある。
 なお、特定の発音器官は用いないが、キツツキが木の幹を嘴(くちばし)でたたいて出す音や、異性の誘引手段として用いられるカ(蚊)の飛翔(ひしょう)音、甲殻類のテッポウエビがはさみで発する威嚇音など、出される音が特別の生物学的意義をもつ場合も発音に含まれる。[村上 彰]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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