白書(読み)ハクショ

デジタル大辞泉 「白書」の意味・読み・例文・類語

はく‐しょ【白書】

white paper》政府の各省庁が、その所管とする行政活動の現状や対策・展望などを国民に知らせるための報告書。日本では、昭和22年(1947)片山内閣が発表したのが最初。もと、英国政府の報告書が白表紙を用いたところからいう。

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精選版 日本国語大辞典 「白書」の意味・読み・例文・類語

はく‐しょ【白書】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( [英語] white paper の訳語 ) 政府が政治経済・外交などの実情や施策を国民に知らせるために公表する報告書。イギリスで政府が公表する公式外交文書の表紙が白いところから、この名が生まれた。日本では、昭和二二年(一九四七)七月に片山内閣が発表した「経済実相報告書」に始まる。〔袖珍新聞語辞典(1919)〕
  3. ( ━する ) 白い字を書くこと。
    1. [初出の実例]「病院の待合札のような、黒塗りに白書した番号を、渡される」(出典:自由学校(1950)〈獅子文六〉檻の内外)

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改訂新版 世界大百科事典 「白書」の意味・わかりやすい解説

白書 (はくしょ)

政府が国政の各分野の現状と課題をひとまとめにして報告書の形で広く国民に提示する公文書。この言葉の由来はイギリス政府が外交の内容を国民に知らせるために出した文書の表紙が白かったところから白書white paperと呼ばれるようになった。以来,政府(行政府)の公式報告書を一般に白書という。これにたいしてイギリスの議会の報告書は青表紙がついているため青書blue bookと呼ぶのがならわしである。

 日本では片山哲内閣が1947年7月経済白書(都留重人執筆の《経済実相報告書》)を出したのが始まりで,〈財政も企業も家計も赤字〉と当時の経済の危機的〈実相〉を伝えた。以来,各省庁ごとに,たとえば労働白書通商白書,厚生白書,国民生活白書,防衛白書等毎年数多く出されるようになっている。白書は主管省庁で調製され,閣議の了承をえて公表され,国民が入手できるように市販されている。

 白書には,一般に,各行政分野の現況と行政事業・施策の達成ぐあいや成果が各種の統計数値や指標類によって記述・分析されているとともに,今後の主たる課題が提示されている。一面では各省庁のPRの性格をもってはいるが,広く政府の保有する情報を公表することによって国民の理解や便宜に役立てようとするのが目的とされている。

 こうした政府発表の白書にたいして,労働組合,企業団体,研究機関,運動グループ等の民間団体が,独自の観点と調査に基づいて政府が書かなかった,あるいは十分にはとらえていないと考えられる行政活動の実態や不備,国民生活の問題状況をとりまとめて広く国民に訴える場合もある。〈……黒書〉と呼ばれるものはその例である。また最近では地方自治体でも行財政の運営実態と課題を報告書にまとめて公表するところが出てきており,広く情報提供活動が活発化している。住民役所共同で作成する〈まちづくり白書〉なども登場している。
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図書館情報学用語辞典 第5版 「白書」の解説

白書

政府が発表する,行政,経済,国民生活,教育などの各分野に関する公式報告書.国のその分野の現状と施策の動向,今後の見通しなどが書かれている.名称は,英国で白い紙表紙で刊行されたことに由来する.日本では,1947(昭和22)年,片山内閣が発表した『経済白書』が始まりといわれる.政府刊行物の代表例であるが,現在では,民間の出版物にも,特定の分野の現状分析を行い,会社,団体の動向を書いたものを「白書」と称して刊行する場合がある.

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「白書」の意味・わかりやすい解説

白書
はくしょ

政府各省庁が所管の行政活動の現状、問題、対策そして将来の展望などを国民に知らせるために発行する刊行物。イギリス政府が外交に関する報告書を白表紙white paperで刊行したのがきっかけで白書の名がつけられた。日本では1947年(昭和22)7月『経済白書』(現『経済財政白書』)が片山哲(てつ)内閣の手で発表されたのが最初である。以後『厚生白書』『労働白書』『建設白書』『環境白書』など、主要省庁が年次報告書の形で30種を超える白書を発行するようになった。なお、外務省編の『わが外交の近況』は『外交青書』blue bookとよばれている。また、最近では、地方公共団体においても、住民に身近な行政の課題を『市民生活白書』『公害白書』などの名で発行する例がみられる。

[中村紀一]

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百科事典マイペディア 「白書」の意味・わかりやすい解説

白書【はくしょ】

元来は英国政府の発行する公式外交報告書の通称。表紙が白であるためwhite paperと呼ばれるのに由来。転じて表紙の色と無関係に政府の公開報告書一般をさすようになり,日本でも第2次大戦後経済白書をはじめ各省の年次報告などにこの名称がつけられている。なお青書と呼ばれるものもあるが,これは英国議会の報告書の表紙が多く青であることに由来し,日本では外務省の年次報告が外交青書と呼ばれる。他の諸国でも議会報告書に種々の色表紙をつけてその通称とされる(ドイツの赤,フランスの黄など)。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「白書」の意味・わかりやすい解説

白書
はくしょ
white paper

政府の活動分野ごとに,一般状況,活動,将来のあるべき状況とその実現方法などを明らかにした政府の公式文書。イギリスのこの種の文書の表紙が白色であったことから白書と呼ばれる。民主制のもとで国民による行政監督を助けるために,政府自身が提供する情報である。日本でも第2次世界大戦後から各省庁で発行されている。特に「経済白書」が有名。行政の基礎的事実を教えるという意味では貴重な情報であるが,政策決定の経過について十分触れていないという点で限界がある。 (→青書 )

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