周期表の第Ⅷ族に属する元素のうち,最上部の鉄族元素を除いたルテニウムRu,ロジウムRh,パラジウムPd,オスミウムOs,イリジウムIrおよび白金Ptの6元素は,互いに性質のよく似た貴金属なので,白金族元素と総称される。諸性質の類似性は周期表の縦方向の元素間(RuとOs,RhとIr,PdとPt)のほうが大きい。天然には互いに混じり合った合金として産出するが,その量はきわめて少ない。美しい銀白色(粉末は黒灰色)で,融点が高く,比重がきわめて大きい(Ru~Pdは約12,Os~Ptは約22)。
空気中の酸素や酸,アルカリに侵されにくいが,化合物となると複雑な錯体をつくりやすく,また一般に酸化数の高い化合物(RuO4,OsO4など)が生じやすいなど,特異な性質があらわれる。これらに関連して,白金族元素は多くの無機・有機化学の反応,とくに酸化還元反応のすぐれた触媒となり,種々の工業的用途が開発されている。
執筆者:曽根 興三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
周期表第8、9、10族に属する元素のうち、鉄族元素を除いたルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の6元素の総称。すべて希元素で、地殻中の存在度はきわめて低い。化合物として産することが少なく、白金族元素どうしの合金であるイリドスミン、プラチニリジウムなどとして産出することが多い。単体はいずれも美しい銀白色の金属で(粉末は黒色)、融点が高く、酸化、腐食を受けにくく、貴金属である。化学的性質は互いによく似ており、多くの酸化状態が知られている。金属および化合物は各種の化学反応の触媒として用いられる。
[中原勝儼]
ルテニウムRu,ロジウムRh,パラジウムPd,オスミウムOs,イリジウムIr,白金Ptの6元素は,性質が似ているので白金族元素と総称される.18族型周期表では8,9,10族になる.性質が似ているので天然には合金として一緒に産出する.代表的な貴金属で,酸,アルカリ,酸素などに侵されにくい.融点,沸点も高い.Osなどは八価の状態もとり,イオン半径の大きいことと相まって八配位の化合物をつくる.電気陰性度は2.2程度であるため,多くの化合物は共有結合性である.多くの化学反応に触媒として用いられる.とくに重要なものは自動車排気ガス浄化用三元触媒でPt,Rh,Pdが使われる.Ptは燃料電池電極材としても使われる.化学的に安定なので,たとえば白金などは化学用るつぼ,蒸発皿などに利用されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…金属を分類するときの用語の一つで,卑金属に対する語。通常は,金Au,銀Ag,および白金族元素のルテニウムRu,ロジウムRh,パラジウムPd,オスミウムOs,イリジウムIr,白金Ptをいう。化学的には,単体として産し,イオン化傾向が小さく,酸類などとは直接反応しにくく,空気中では酸化されにくい,ということで,上記の金属以外に銅Cuおよび水銀Hgをも含めていうのが普通である。…
※「白金族元素」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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