器壁が白く胎土のしまった陶器をいう中国考古学の用語。新石器時代の大汶口文化,竜山文化の陶器のなかに,良質の陶土(カオリン)を用い,1000℃以上で焼成した白陶が出現している。しかし,単に白陶というときには殷代のものを指す。殷代の白陶はカオリンを用い,1100℃くらいの火で焼きあげられ,純白の色調をたたえる。饕餮(とうてつ)文,夔鳳(きほう)文,雲雷文など精巧な文様を刻し,銅器と同じように,爵,尊,觶(し),罍(らい),卣(ゆう)など儀式用の形をとる。これまで,河南省安陽の殷墟に限ってしか出土しておらず,出土量もきわめて少ない。白陶の地肌が玉器と共通するところから,銅器と同等ないしはそれ以上に珍重されたようである。
執筆者:町田 章
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
中国でつくられた白色の土器。この系統の土器は、早くは山東省など東方の地域を中心に、竜山(りゅうざん)文化期以前から現れているが、殷(いん)代後期に至って発達し、きわめて精美な作品がつくりだされた。安陽の殷墟(いんきょ)における大型・中型墓の副葬品として出土した例が知られる。陶磁器のそれに近い鉄分の少ない高嶺(カオリン)土(磁土)を用いて、1000℃を超える高温で堅く焼かれている。器形に豆(とう)、簋(き)、罍(らい)、尊、卣(ゆう)などがあり、また表面を饕餮(とうてつ)文、虺竜(きりゅう)文、雷(らい)文などで刻飾することは、殷代の儀礼用の青銅器と通じており、実用を離れた宝器的な存在であった。
[西江清高]
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…器形は横長方形で殷中期と異なる。特色ある土器に白陶がある。純良な陶土を用い高火度焼成したもので豆,罍(らい),壺,尊,卣,盤などの器形に青銅器と同じ饕餮文や雷文などを飾った儀器である。…
…殷代後期の安陽期には灰釉陶器生産も盛んになり,熱効率のよい窯で焼かれている。安陽期には白陶といわれるカオリン土を用いた白い硬陶がつくられ,罍(らい)や壺などがあり,器面には饕餮文(とうてつもん)や夔鳳文(きほうもん)などが描かれ,器形,文様は青銅器とまったく同じである。西周時代には浙江,江蘇を中心に本格的な釉陶生産が行われ,安徽省屯渓の西周時代の遺跡からは,全体に等しく釉薬のかかった尊や豆,壺などが出土している。…
…焼成温度が600~800℃程度の土器は軟質で,たたいても低い音しか発しないが,1000℃を超える高温で焼き上げると硬質に仕上がり,たたくと高い音を発する。特殊例として,中国殷代には,純良のカオリナイトからなる白い土(陶土,カオリン)を用いて1100℃前後で焼成し,白く仕上げた硬質の土器(白陶)がある。600~800℃程度の焼成は,平地か凹地に燃料と土器を積み上げて焼く野焼きで十分である。…
※「白陶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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