百太夫(読み)ヒャクダユウ

デジタル大辞泉 「百太夫」の意味・読み・例文・類語

ひゃく‐だゆう〔‐ダイフ〕【百太夫】

兵庫県西宮市の百太夫社に祭られた道祖神平安時代遊女が恋愛神として、また近世傀儡師くぐつしが祖神として祭った神。

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改訂新版 世界大百科事典 「百太夫」の意味・わかりやすい解説

百太夫 (ひゃくだゆう)

平安末期以降,漂泊の遊女および傀儡くぐつ)(人形まわし)らの集団が,共同体の守護神として尊崇した神の名。百神,白太夫(はくだゆう)というのも同じ神と思われる。百太夫は地位の低い小祠の神で,道祖神の一名ともいわれる。遊女が尊崇したのは,その求愛神,和合神としての属性によるとみられ,《梁塵秘抄》所収の歌謡にその反映がある。百太夫社は末社の形で諸社に付属しているが,なかでも兵庫県西宮の夷(えびす)大明神(現,西宮神社)のそれが有名。西宮の散所(さんじよ)を根拠として全国を回っていた傀儡師,夷まわし(夷舁き),人形遣いの集団により,部族の祖神としてあつく信仰されてきた。ほかに,淡路三条の大御堂,大分県の宇佐八幡宮,京都祇園の八坂神社など,かつて著名な人形遣いの集落のあった土地には必ずこの神を祀る小祠があり,両者の深い関係を示している。西宮夷社の神体は冠衣を着した木製神像で,毎年正月に顔に白粉を塗る。これは道祖神系の神仏に共通の再生儀礼である。これに関連して,疱瘡(ほうそう)神としての属性を生み出した。淡路三条の百太夫社は,淡路人形の集団が定着してのち,近世初期に祭祀したものと思われ,百太夫を夷神()そのものに習合させている。
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「百太夫」の解説

百太夫 ひゃくだゆう

漂泊の遊女,人形遣いらの守護神。
平安時代後期以降,尊崇された。道祖神のなかの1神ともいわれ,末社の形で諸社におかれる。なかでも兵庫県西宮の夷(えびす)大明神(現西宮神社)が有名で,正月に木製の神体の顔に白粉(おしろい)をぬる。ほかに京都の八坂(やさか)神社などにもまつられている。

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