コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

散所 さんじょ

6件 の用語解説(散所の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

散所
さんじょ

古代から中世にかけて存在した賤民。もとは,貴族,社寺の所領の一形態で,地子物 (年貢) の弁済を免除されるかわりに,住民が領主に対して雑役をつとめた地域をいい,やがて,そこの住民をさすようになった。

本文は出典元の記述の一部を掲載しています。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉の解説

さん‐じょ【散所】

随身(ずいじん)などがその本官の役所に出仕せず、他の者、特に有力貴族などに所属していること。また、その人。
古代末期から中世にかけて、貴族や社寺に隷属し、労務を提供する代わりに年貢を免除された人々の居住地。また、その住民。鎌倉中期以降、浮浪生活者などを散所とよぶようになり、多く賤民視された。中世末から近世にかけては、卜占(ぼくせん)や遊芸を業とする者も現れた。

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

百科事典マイペディアの解説

散所【さんじょ】

本所に対する用語。古代・中世初期においては,律令制的な公的支配に属さなかった場所,国衙(こくが)の管轄外に存在した人々。中世社会の展開につれて,貴族・社寺に隷属して荘園制的支配下に入り,社寺の周辺や港湾,宿など交通の要衝地に集住。
→関連項目賤民万歳

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. ご提供する『百科事典マイペディア』は2010年5月に編集・制作したものです

世界大百科事典 第2版の解説

さんじょ【散所】

この語は,現在知られているかぎりでは奈良時代の747年(天平19)の文書に初めてあらわれており,当時より平安時代初期のころまでは,だいたいにおいて直接的な支配・管理の系統には属さない場・人を意味する語として用いられていたようである。平安時代中期ごろから室町時代にかけては,荘園領主の領地の一部,および,そこに定住することを認められて年貢の代りに雑役を務めた人をさす語として用いられるようになり,以降江戸時代にかけては,とくに賤視された人々の一部,ならびにその集住地をさす語として流布・定着し,近代におよんだものとみられる。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

大辞林 第三版の解説

さんじょ【散所】

律令制の官職上はある官司に属するが平常は出仕せず、有力貴族などに奉仕していること。また、その者。 ↔ 本所
古代末・中世、貴族・社寺の所領の一形態、またその住民。領主に従属し、年貢を免除される代わりに、手工業・交通・狩猟などの労役を提供した。流入する浮浪人が多く、のちには賤民視されるようになった。また、中世以降、雑芸を業とする者を多く生み出した。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

散所
さんじょ

本所(ほんじょ)に対しての散所の意で、正規ではない散在の所という意味。それがさす内容は時代によって大きく変化する。律令(りつりょう)官職制では、院宮諸家に賜与された舎人(とねり)、雑色(ぞうしき)などを散所舎人、雑色といい、また、官衙(かんが)に対して、控えの場所を散所といった。ついで荘園(しょうえん)体制下では、権門(けんもん)(院宮諸家)の本家を本所として、散在する荘園的所領、別荘、御願寺(ごがんじ)、津木屋所(つのきやどころ)(材木集積所)、牧(まき)などを散所とよび、そこに付属する寄人(よりゅうど)的な身分を散所雑色などとよんだ。たとえば摂津(せっつ)水成瀬郷(みなせごう)の田堵(たと)は、同時に八幡宮(はちまんぐう)寄人であり、殿下(でんか)散所雑色でもあったし、摂関家大番(せっかんけおおばん)舎人も同様に寄人的存在であった。彼らは奉仕者集団を形成し、夫役(ぶやく)や手工業製品・農産物・商品などの貢進、造船、艤舟(ぎしゅう)、運送など、本所の行事や日常生活に重要な役割を果たした。したがって散所雑色は、田堵、名主(みょうしゅ)層と同一階層の権門寄人であり、これらを卑賤(ひせん)視されたものとする学説があったが、それは妥当ではない。
 ところが、鎌倉中末期ごろから、非人(ひにん)、乞食(こじき)などのなかで、非人の古くからの集住地であり、葬送などの独占権をもっていた京都清水(きよみず)坂などを本所として、その本所非人(坂者(さかもの))に対して散所法師、散所の称が使われるようになり、「散所者」「散所」の語は、しだいに被差別民をさす場合が多くなった。鎌倉期の辞書『名語記(みょうごき)』には、「散所ノ乞食法師」「声聞(しょうもん)法師ハ乞食事也(なり)」とみえ、「散所町」は「コシキ町」と表現されている。鎌倉中期以降、声聞師といわれた大道芸人、乞食、ハンセン病者などの集住地が、洛中(らくちゅう)洛外に増加した結果、その集住地は婉曲(えんきょく)な表現として散所とよばれるようになり、その住人は散所法師、散所非人、散所者、散所人といわれるようになった。なお、大和(やまと)国では声聞師、乞食といわれ、散所の語は彼らに使用されていない。洛中の散所は、基本的には検非違使(けびいし)庁の所管に属していたが、諸家や諸寺社が領知を認められて課役を徴収した散所も多い。[脇田晴子]
『脇田晴子著「散所論」(部落問題研究所編『部落史の研究 前近代編』所収・1978・部落問題研究所出版部)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典内の散所の言及

【山荘太夫】より

…この生命の転換と更新,それが行われる天王寺という場の構造と論理が,この話の枠組みをなしている。〈さんじょ〉と呼ばれる地名は各地にあり,算所,散所,産所,三荘,山荘などの字を当てているが,この語り物はその〈さんじょ〉に住む遊芸の徒,説経師によって語られたものである。さんじょの太夫が語り歩いたものが,いつか物語の人物名になったものであろう。…

【被差別部落】より

…その内実は種々雑多であって,大寺社に人身的に隷属して〈キヨメ〉(清めの意で,寺社域・道路の汚穢(おわい)を清めたり,葬送行事にかかわる下役を勤めたりする)の雑役に駆使されたり,雑芸で口を糊したりしたものから,物乞いでかろうじて生きた〈乞食〉の集団をなしたものまでをも指しており,これには〈癩者〉(ハンセン病患者)をはじめとする貧窮孤独の病人や身体障害者も含まれ,仏教思想による〈慈善救済〉,具体的には,いわゆる〈施行(せぎよう)〉(施し)の対象となっていたものである。彼ら〈非人〉の多くは,京都(京)の清水坂(きよみずざか)や奈良(南京・南都)の奈良坂など都市の周縁部に位置する交通の要衝や,荘園内に設定された〈散所(さんじよ)〉という地域を根拠地として,〈非人長吏(ちようり)〉や〈散所長者〉による統率・管理のもとで集落生活を営んでいた。さらに鎌倉時代中期には,すでにこの〈キヨメ〉たち(職能の呼称が,それに携わる人の呼称にもなった)は〈えた〉と同一視されており,〈えた〉はまた〈河原のえた〉ともいわれたように〈河原者(かわらもの)〉と一体であったことが知られている。…

※「散所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

散所の関連キーワード六調子起聯四蔵律・慄・率・立四部律鍵酵素律(仏教)律(詩歌)律(法制)

今日のキーワード

トランスアジア航空

台湾・台北市に本拠を置く航空会社。中国語名は復興航空。1951年、台湾初の民間航空会社として設立。83年に台湾の国産実業グループに経営移管され、組織改編を実施した。92年に国際チャーター便の運航を始め...

続きを読む

コトバンク for iPhone

散所の関連情報