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皮膚の変化をもたらす病気(デルマドローム) ひふのへんかをもたらすびょうきでるまどろーむ

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家庭医学館の解説

ひふのへんかをもたらすびょうきでるまどろーむ【皮膚の変化をもたらす病気(デルマドローム)】

◎デルマドローム(Dermadrome)とは何か
◎悪性腫瘍(あくせいしゅよう)がもたらす皮膚の変化
◎糖尿病がもたらす皮膚の変化
◎肝臓疾患がもたらす皮膚の変化
◎腎臓疾患がもたらす皮膚の変化
◎妊娠がもたらす皮膚の変化
◎その他の疾患がもたらす皮膚の変化

◎デルマドローム(Dermadrome)とは何か
 古くから、「皮膚は内臓の鏡」といわれています。これは、皮膚が体内の臓器あるいは体内環境の変化をそのまま反映するということを意味しています。
 皮膚に変化がみられるとき、それが体外の環境変化に皮膚が反応しているためか、それとも体内の異常が皮膚に反映しているためなのかを判断するのは、熟練した皮膚科医の重要な仕事です。それはけっして容易なことではありません。
 内臓病変と関係する皮膚変化を、デルマドロームといいます。ただし、ある1つの皮膚変化が1つの内臓病変の反映だという、1対1の対応(直接デルマドローム)はなかなか成り立ちません。ある皮膚変化は、それが体内変化を間接的に反映している状態であること(間接デルマドローム)も考慮に入れ、内臓病変の可能性を順番に確認していくというのが実際的な筋道なのです。
 ここでは、いくつかの重大な病気がどのような変化を皮膚にもたらすかについて解説してみましょう。

◎悪性腫瘍(あくせいしゅよう)がもたらす皮膚の変化
 内臓の悪性腫瘍が、皮膚に転移する場合があります。これは、皮膚にできた腫瘍を調べることで、体内のがんの存在がわかることを意味します。このような例として、胃がんの皮膚転移、肺がんの皮膚転移があります。また、血液・リンパ系の悪性腫瘍の場合には、皮膚の病変がそのまま主病変ということもあります。皮膚原発のリンパ腫(しゅ)がそれです。逆に、もともとは皮膚のがんが、体内に転移してしまう場合もあります。しかし、この場合は、腫瘍そのものが皮膚と体内に存在するわけですから、デルマドロームとしては扱いません。
 悪性腫瘍が長く体内に存在していると、からだはやせ、皮膚は黒ずみ、張りも失われていきます。このような一般的な皮膚変化はもちろんですが、つぎのような変化が皮膚にみられる場合は、体内に悪性腫瘍があることを疑い、精密検査をしなければなりません。
■黒色表皮肥厚症(こくしょくひょうひひこうしょう)
 わきの下、うなじ、鼠径部(そけいぶ)、陰部、股部(こぶ)の皮膚が黒ずんでざらざらになり、しわが深くなるものです。胃がんなどの場合に現われてきます。
 なお、悪性腫瘍と関係なく、肥満や内分泌(ないぶんぴつ)の障害にともなって現われることもあり、良性型といいます。
■レーザー・トレラー徴候(ちょうこう)
 脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)(老人性疣贅(ゆうぜい)、老人性のいぼ)は、健康な人でも皮膚の老化にともなって現われます。
 しかし、いぼが短期間(数か月)のうちに急激にたくさんでき、かゆみがあるときは、レーザー・トレラー徴候と呼ばれます。
 レーザー・トレラー徴候では、胃がん、大腸(だいちょう)がん、悪性リンパ腫を合併している可能性があります。
■蛇行(だこう)状、環状、年輪(ねんりん)状の紅斑(こうはん)
 不思議な模様の紅斑、とくに何重にも輪ができるような紅斑が生じるときは、悪性腫瘍が体内にある可能性が高くなります。
皮膚瘙痒症(ひふそうようしょう)・痒疹(ようしん)
 ふつうのスキンケアや抗ヒスタミン薬などのかゆみ止めが効かない厄介(やっかい)なかゆみがあるときは、肝臓病、腎臓病(じんぞうびょう)、糖尿病、悪性腫瘍を考慮に入れるべきといわれます。
 ひっかいているうちに丘疹(きゅうしん)となり、頑固(がんこ)な結節となったものを痒疹といいます。痒疹もいろいろな原因で現われますが、悪性腫瘍も誘因、または原因の1つです。
皮膚筋炎(ひふきんえん)
 膠原病(こうげんびょう)の1つとして知られる皮膚筋炎は、悪性腫瘍といっしょに現われることがあります。この場合、悪性腫瘍を完全に治療すると、皮膚筋炎も軽快します。
■水疱症(すいほうしょう)
 水疱症のなかでも、水疱性類天疱瘡(すいほうせいるいてんぽうそう)と呼ばれるものは、悪性腫瘍に合併することがあります。
■後天性魚鱗癬(こうてんせいぎょりんせん)
 魚鱗癬の多くは、先天的なものですが、年をとってから魚鱗癬などの角化の異常が現われる場合には、栄養不良や悪性腫瘍が考えられます。
■紅皮症(こうひしょう)
 全身の皮膚が紅潮(こうちょう)して、たくさんの鱗屑(りんせつ)がはがれ落ちる症状を、紅皮症といいます。紅皮症には、乾癬(かんせん)、湿疹(しっしん)、感染症のほか、悪性腫瘍が原因のことがあります。

◎糖尿病(とうにょうびょう)がもたらす皮膚の変化
 一般に、糖尿病患者の約30%に、なんらかの皮膚病変がみられるといわれます。そのなかには、比較的糖尿病に特有の皮膚病変と、日常ありふれた病変ながら、糖尿病の合併を考慮すべきものがあります。
■リポイド類壊死症(るいえししょう)
 斑点(はんてん)が、おもに下腿(かたい)の前面にできますが、他の部位にもできます。黄赤色で光沢があり、大きさは大小さまざまです。形は円形に近い萎縮斑(いしゅくはん)で、表面はなめらかです。毛細血管(もうさいけっかん)の拡張をともないます。この症状が出た人に糖尿病の検査をすると、大部分の人になんらかの異常が見つかります。
 関連する疾患には、前脛骨部色素斑(ぜんけいこつぶしきそはん)、あるいは多発性環状肉芽腫(たはつせいかんじょうにくげしゅ)があります。いずれも糖尿病による微小血管障害が、基盤にあると考えられています。
■糖尿病性水疱(とうにょうびょうせいすいほう)
 足、下腿、手などに、突然水疱が生じるものです。血管障害のためと思われます。
■糖尿病性壊疽(とうにょうびょうせいえそ)および潰瘍(かいよう)
 最近、増えている疾患の1つです。おもに足部の潰瘍と壊死のことで、糖尿病による血管障害と神経障害を基盤に発症するものです。
 きっかけは、きわめて小さな外傷、熱傷、みずむし、靴ずれなどで、患部の皮膚が壊死(えし)(組織や細胞が局部的に死ぬこと)し、壊死組織が脱落すると潰瘍になります。細菌感染をおこしやすく、ときに生命をおびやかす原因になります。
■皮膚瘙痒症
 糖尿病の人は、皮膚がかゆくなりがちです。とくに頑固な陰部瘙痒症(いんぶそうようしょう)が生じます。
■皮膚感染症
 糖尿病の患者さんには、一般に足白癬(あしはくせん)が多く、また皮膚カンジダ症も多いものです。細菌感染症もよくあります。臀部(でんぶ)に毛嚢炎(もうのうえん)や癤腫(せつしゅ)がたくさんできたら、糖尿病の検査をしなければなりません。

◎肝臓疾患がもたらす皮膚の変化
 肝臓と皮膚病変も深い関連があります。つぎのようなものが有名です。
■黄疸(おうだん)
 肝臓から胆嚢(たんのう)を経て排泄(はいせつ)されるはずのビリルビンが血液中にたまると黄疸になります。眼瞼(がんけん)(まぶた)と眼球(がんきゅう)の結膜部(けつまくぶ)が黄色く染まり、ついで皮膚も黄色、あるいは黄褐色に染まります。肝臓の病気を反映しています。
■肝性皮膚瘙痒症(かんせいひふそうようしょう)
 黄疸があるとき、黄疸がなくても血液中に胆汁酸が増加したとき、または正体不明の成分によって、肝臓が障害されたときなどには、皮膚が乾燥してかゆくなります。また、かいているうちに、二次的な皮膚病をおこすこともあります。
■手掌紅斑(しゅしょうこうはん)、くも状血管腫(じょうけっかんしゅ)
 肝臓病のときには、血管が広がる症状がでやすくなります。血液中にエストロゲンというホルモンが増えるためというのが、原因の1つと考えられています。手のひらが赤くなる手掌紅斑、小さな傘(かさ)を開いたような形の血管拡張症であるくも状血管腫がみられます。また、男性の乳房が大きくなる女性化乳房もみられます。
 なお、肝硬変(かんこうへん)が進むと、胸腹壁の静脈が怒張(どちょう)(膨(ふく)れて隆起した状態)して皮膚表面に浮き出すようになります。これをメドゥーサの頭といいます。

◎腎臓疾患がもたらす皮膚の変化
■腎性皮膚瘙痒症(じんせいひふそうようしょう)と浮腫(ふしゅ)
 腎臓の機能が悪化し、とくに透析療法(とうせきりょうほう)を行なうほどになると、患者さんは耐えがたい皮膚のかゆみに悩まされるようになります。掻破(そうは)(かきつぶし)をするうちに、二次的な皮膚病変が生じます。丘疹や小結節(しょうけっせつ)(盛り上がった小さな発疹(ほっしん))ができ、皮膚から変性した真皮成分(しんぴせいぶん)の排出現象がしばしばみられます。
 腎性の浮腫(むくみ)が、下腿の前面によく現われるのは有名です。
 逆に、腎臓に異常をもたらすことのある皮膚病は多数あります。腎機能検査が欠かせません。

◎妊娠がもたらす皮膚の変化
 妊娠すると皮膚は変化します。色素が増え、外陰部、乳輪部や、もとからある色素斑などが黒ずんできます。また、血管の病気は一般に悪化しますから、手掌紅斑がみられ、血管拡張性肉芽腫ができ、もとからあるものが大きくなったりします。グロムス腫瘍と呼ばれる、痛みの強い血管系の腫瘍ができることもあります。
■妊娠性皮膚瘙痒症(にんしんせいひふそうようしょう)
 妊娠中期、あるいは後期になると、皮膚のかゆみが増します。赤みのある丘疹や結節として現われたりもします。これらを妊娠性痒疹(にんしんせいようしん)、妊娠性丘疹性皮膚炎(にんしんせいきゅうしんせいひふえん)、妊娠性(にんしんせい)じんま疹様丘疹(しんようきゅうしん)といいます。
■妊娠性疱疹(にんしんせいほうしん)
 水疱(水ぶくれ)が生じてくるものです。妊娠3~6か月ごろに発症し、分娩(ぶんべん)とともに消えますが、再度妊娠すると再発します。これは、妊娠にともなって発症する自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)の水疱性類天疱瘡(すいほうせいるいてんぽうそう)(「水疱性類天疱瘡」)と理解されるようになってきました。
■疱疹状膿痂疹(ほうしんじょうのうかしん)
 妊娠が誘発する、全身にできる膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)(「乾癬」)です。膿疱、紅斑(こうはん)、鱗屑(りんせつ)がたくさんでき、発熱、浮腫、関節痛などの症状があるため、厳重な管理が必要です。全身性膿疱性乾癬の治療に準じますが、妊娠を継続できるか、判断しなければならないこともあります。

◎その他の疾患がもたらす皮膚の変化
 このほか、皮膚と心臓に障害の現われるもの(心(しん)・皮膚症候群(ひふしょうこうぐん))、皮膚と神経系に障害の現われるもの(神経皮膚症候群(しんけいひふしょうこうぐん))などがあります。
 また、膠原病(こうげんびょう)にともなう皮膚の症状については、「膠原病の皮膚症状」を参照してください。

出典|小学館
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