出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
主として化土(けど)(アシやマコモが長年地中に埋もれてできた弾力性のある土)を用い、盆上にあらゆる大自然の景を立体的に表現して、その美と寂(さび)をめでる、いまでは日本独特の風流な道(あそび)である。起源は遠く推古(すいこ)帝のころ、百済(くだら)より渡りきたった者の作にあるといわれる。その後、平安貴族らによって慈しみはぐくまれてきた素朴な鉢山、盆庭などを経て、明治の中ごろからは、赤土にかわって化土の起用に移った。そして同時に、さまざまな約束ごと(基本)を守ることによって、箱庭とは似て非なる造形芸術「盆景道」として発展してきたものである。
平(ひら)盆景、吊(つり)盆景、立(たて)盆景、額盆景、石盆景、卓上盆景、固型(乾燥)盆景、砂絵と種類も多い。正統派ともいえる平盆景は、みずみずしさを長く保つために、盆に水を入れて簀子(すのこ)を置き、その上に熱湯で練った化土で図取りをし、土筆(つくし)(金属製のへら)に白土(はくど)や砥(と)の粉(こ)をつけながら、山や岩をつくり、顔料を用いて着色し播苔(まきごけ)をふる。水面は青砂、波は白砂を落として表し、豆盆栽、挿木または専用の造木を配してできあがる。主材料は何度でも使用することができるが、まず遠近感を重んじ、草(そう)の法、行(ぎょう)の法、真(しん)の法をはじめとする盆景の基本を守ることが厳しく要求される。1916年(大正5)に創立された日本盆景協会に現在所属するのは、和泉(いずみ)流、温故(おんこ)流、岳水流、雅風会、巌芳(がんぽう)流、湖山流、豊山(ほうざん)流、蓉美(ようび)流、和雲(わうん)流の9流派である。
[藤林樹川]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…また伝書も種々あらわれ,《蒹葭堂盆石志》《盆山秘言》などが読まれている。盆石は中国の仮山と同じく,本来石だけを盆に据えて鑑賞するものであったが,後には盆山,盆景,盆画,盆庭などと呼ばれる縮景の遊びも含むようになった。盆山,盆景などの語は一様の定義を下しにくいが,まず丸盆や楕円形の盆,扇盆などに石を置き(盆石では〈立てる〉という),これに小さい添え石を二,三あしらい,次に定規,羽などを用いて砂をまき(盆石では〈打つ〉という),波や雲,月などを描きだす芸である。…
※「盆景」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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