目銭(読み)モクセン

デジタル大辞泉 「目銭」の意味・読み・例文・類語

もく‐せん【目銭】

中世、港の関で商船に課した入津税。また、酒屋酒壺寺領の段別に課した雑税

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精選版 日本国語大辞典 「目銭」の意味・読み・例文・類語

もく‐せん【目銭】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 省陌法によって、一〇〇文未満の銭を束ねて一〇〇文として流通させる際に、省かれる銭。室町時代後期には九六文を以て一〇〇文とするのが一般的であった。なお、年貢銭納に際し、悪銭混入による目減りを防ぐために徴収した付加税を口目銭と呼ぶ。
    1. [初出の実例]「貫文 目銭 米代運上、京都までの替賃」(出典金沢文庫古文書‐応安三年(1370)五月一〇日・加賀国軽海郷年貢済物結解帳(七・五五六六))
  3. 鎌倉・室町時代の課税一種。港や関で商船に課した入津料。商船目銭
    1. [初出の実例]「爰摂津国三箇津商船目銭者、去正和年中之比、東塔雷火之時、被寄附修理料所」(出典:東大寺文書‐元弘二年(1332)三月)
  4. 酒屋の酒壺を対象に課した雑税。酒屋役
    1. [初出の実例]「蜷川親俊記云酒屋方柳桶壱荷充代目銭等事」(出典:武家名目抄(19C中か)公事部)

め‐ぜに【目銭】

  1. 〘 名詞 〙もくせん(目銭)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「目銭」の意味・わかりやすい解説

目銭(もくせん)
もくせん

「めぜに」ともいう。鎌倉・室町期に徴収された税の一種。(1)荘園(しょうえん)領主が年貢銭の収納に際して、悪銭の混入による目減り分を予測し、徴収した銭をいう。1401年(応永8)閏(うるう)正月、高野山(こうやさん)領相賀(おうが)荘では公事(くじ)銭を徴収する際に目銭を課している(高野山文書)。(2)港湾に設置された関で徴収された入津税のことで、商船目銭とも称する。1463年(寛正4)の『大乗院寺社雑事記(だいじょういんじしゃぞうじき)』には、興福寺では兵庫南関からの「商船目銭・札狩(ふだがり)税」の収入が、寺家直務(じきむ)であれば2000貫文になるところ、近年は代官支配のため700余貫文に減少したと記されている。(3)このほか、酒屋役、段銭(たんせん)についても目銭と称した。

[鈴木敦子]


目銭(めぜに)
めぜに

目銭

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「目銭」の意味・わかりやすい解説

目銭
めぜに

「もくせん」とも読む。 (1) 室町時代,良銭と悪銭が一緒に流通したため,支払いにあたって,悪銭は良銭よりも多量の銭で良銭と同額とされた。この差の部分 (打歩) を目銭という。 (2) 鎌倉~室町時代,水路関,港を通過する商船に賦課した租税。

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