相称(読み)そうしょう(英語表記)symmetry

翻訳|symmetry

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

相称
そうしょう
symmetry

生物体におけるある方向の軸面に鏡像的な構造をいう。この軸の方向,数により,左右相称放射相称などがある。相称は大多数の動物にみられ,これと同時に頭と尾という,体の前後関係の確立を伴っていて,人体のように,内臓は必ずしも相称でなくても,外形は相称にまとまっていることからみても,全身の運動性と関係があるといえる。植物ではしたがって,全身的相称は明確でなく,花や葉の形など,局所に相称性がみられる。動物でも,ヒラメのように2次的に相称性を失った場合や,ナマコのように放射相称形が長く引伸ばされて横に寝た形となり,わかりにくくなっている例がみられる。

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デジタル大辞泉の解説

そう‐しょう〔サウ‐〕【相称】

互いにつりあうこと。
一つの平面または直線を中心に、その左右または上下が同形であること。シンメトリー。対称。
生物体が、ある平面を境にして鏡像的に等しい部分に分けられること。人間の左右相称形、ヒトデの放射相称形など。

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百科事典マイペディアの解説

相称【そうしょう】

生物学における対称をいう。ヘッケルが生物の形態分類に用いた概念。生物体が一つの面に関し対称な左右相称(脊椎動物など),一つの主軸を通り互いに直交する2対称面をもつ2放射相称(クシクラゲ),三つ以上の対称面が互いに等角度で交わる放射相称(クラゲ,ヒトデなど)がある。放散虫のように球形のものは全面相称と呼ぶ。アメーバ,巻貝などは無相称の例。

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世界大百科事典 第2版の解説

そうしょう【相称 symmetry】

一般にある図形または物体が一つの直線(相称軸)または平面(相称面)によって,鏡像をなす二つの部分に分けられることをいう。数学でいう対称とほぼ同じ概念であるが,対称が厳密な概念であるのに対し,相称は原則的に鏡像をなすことをさし,数学的厳密性を必要としない。生物学では,生物体の全体または一部の外形を整理分類するのにこの概念が用いられる。E.ヘッケルは1866年,系統類縁関係による分類とは別に,生物体の軸・極・相称性によって生物界を形態学的に分類することを提唱し,この体系を〈基本形態学Promorphologie〉と名づけた。

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大辞林 第三版の解説

そうしょう【相称】

一つの線または面を境にして、その両側が全く同じ形をしていること。対称。シンメトリー。
生物の個体または器官が、ある軸や面で互いに同等な部分に区切られること。放射相称・左右相称など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

相称
そうしょう

生物学用語では、動物をある面によって互いに鏡像的な等しい部分に分けられることをいう。大きくみて、放射相称と左右相称に分けられる。放射相称とは、体軸を通る相称面が三つ以上ある場合で、タイヨウチュウなどの原生動物、イソギンチャク、クラゲなどの腔腸(こうちょう)動物、ヒトデ、ウニなどの棘皮(きょくひ)動物がその例である。いずれも運動性の低い動物、あるいは着生動物である。左右相称とは、相称面が一つで、これにより体が左右均等に分けられるものをいい、脊椎(せきつい)動物をはじめ、多くの動物にみられる。左右相称動物には頭尾軸が明確で、中枢神経系が頭部に集中する傾向があり、対(つい)になった左右の感覚器から外界の情報を得られる。そのため運動に方向性が生じる。これらの点と運動性が高いこととは深い関係がある。ヒトデやナマコも、幼生のときはプランクトンとして運動性があり、左右相称的な体制である。このように個体発生の過程で二次的に相称性が変わる場合もある。一方、アメーバのように相称性をもたない動物もいる。しかしながら、ヒトの体を考えてもわかるように、左右相称というのは主として体の外面のことで、内臓の配置など厳密には左右相称でない場合が多い。[和田 勝]

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