デジタル大辞泉 「磯」の意味・読み・例文・類語
いそ【×磯】
1 海・湖などの波打ち際。水際。特に、石の多い海岸。
2 波をかぶったり流れに洗われたりする岩石。
3
4 琵琶・
5
[形動ナリ]《「富士は磯」の略から》
1 比較にならないさま。はるかに及ばないさま。
「うたてや久米の仙人も―なり」〈浮・御前義経記・二〉
2 未熟であるさま。浅薄であるさま。
「親父の悪性に合はせては、我等が遊びは―な事ぢゃが」〈浮・曲三味線・四〉
[類語]渚・水際・波打ち際・海岸・
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
海や湖の岸で、水面付近に岩石が露出していて、砂礫(されき)などの堆積(たいせき)物がほとんどみられない波打ち際の場所のこと。また岩塊や大きな漂礫がごろごろしている海岸も磯あるいは磯辺(いそべ)といい、磯の広がる海岸を磯浜海岸または岩石海岸という。磯は、満潮面上にあるもの、潮間帯に位置するもの、干潮面下にあるものなどを含むが、それらは比較的平滑な岩棚(いわだな)もあり、また凹凸の著しいものもある。そのような磯の地形の特性は岩石の性質や波の条件などに左右される。磯には海藻が付着し、魚貝類も豊富に生息するので磯採集の対象となる。また磯浜海岸は海岸線が出入りに富み、海底地形も複雑である。その入り江には天然の港が形成されやすい。
[豊島吉則]
鹿児島市街の北東端、吉野町の一地区。鹿児島湾に臨む景勝地で、磯の島津邸があり、邸内の磯庭園は国指定名勝。島津邸は万治(まんじ)年間(1658~1661)19代藩主島津光久(みつひさ)が別邸として建て、庭園は仙巌園(せんがんえん)ともよばれ、自然と人工美の調和のとれた回遊式の大庭園である。21代吉貴(よしたか)が琉球(りゅうきゅう)を通じて取り寄せた江南竹(モウソウチク)や28代斉彬(なりあきら)が日本で初めてガス灯を点じた石灯籠(いしどうろう)などがある。また付近には、斉彬建設の尚古集成館(しょうこしゅうせいかん)、反射炉跡、紡績所跡などがある。JR鹿児島中央駅前からバス30分。
[平岡昭利]
砂浜海岸に対して,岩石海岸を磯あるいは磯浜という。岩礁性の海辺は,海藻をはじめ魚介類のかっこうの生息地となり,また砂浜に比べて海水の透明度が高いところから,古来より,箱めがねを用いて水中をのぞきながら,もりややす,あるいはかぎで魚を突くミツキ,カナギ,イソネギなどと各地で呼ばれる磯漁の舞台として,日本の沿岸漁業の中で重要な位置を占めてきた。
執筆者:高桑 守史
琵琶,箏(そう),和琴(わごん)の胴の側面。箏や和琴は古くは箱造りもあり磯を別にとりつけたが,普通は彫槽(上板の裏面をかまぼこ形に刳(く)って裏板を張る)で,磯は上板の一部をなす。生田流の箏には磯にも金泥地や木画で装飾をほどこしたものもある。
執筆者:三谷 陽子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…平安時代中期に額充(ひたいあて)というものができ,多くこれを着けたが,後に額がかたく塗り固められるにいたって,従来の羅頭巾のなごりをとどめたものであったろう。(2)縁 磯ともいう。このような直立した縁ができたものも平安中期以後からのことである。…
…一般に,海に突出した崎・岬に対して陸地が湾曲して湖海を抱えこんでいるところを浦といい,岩塊の露出した磯に対して砂泥や小石からなる海岸平地を浜という。日本の前近代を通じて漁村を表示する地名用語。…
…うねりは波高にくらべて波長が大きい。うねりや風波は陸地に近づくと,海底での水粒子の摩擦により減速し,波長は短くなり,波高は高くなり,ついにある水深の所で砕けて,磯波として海岸に打ち寄せる。砕波帯より陸側では,水の動きは乱流状態となり,海浜底質は活発に動き,地形変化が激しい。…
…日本の海図ではこうした慣習名を図載している。すなわち出シ,グリ,ソワイ,ゾワイ,ソワ,曾根,バエ(碆),ハエ,シ(沚),岩,石,根,瀬,ビラシ,ツガイ(喰合),アサリ,モ(藻),モタレ,ヤマ(山),イソ(磯),場などの異称がある。【佐藤 任弘】。…
※「磯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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