鉱物など固体物質の硬度を相対段階的に表示するために指準鉱物を用いる場合、その鉱物を一括して組にしたもの。「モース硬度計」がもっとも有名である。
[加藤 昭]
指準鉱物は、最初にF・モースが設定した段階では、(1)淡緑色葉片状の滑石(かっせき)、(2)結晶状の岩塩または透明な石膏(せっこう)の結晶、(3)無色透明の方解石、というように限定条件をつけた鉱物であったが、取り扱いにくいという理由で岩塩は用いられなくなり石膏のみとなった。また一切の限定条件は取り除かれた。ただし岩塩の基準鉱物としての不適格性は存在しない。なお除去直後は、限定条件のあるものをモースの硬度計Hardness scale of Mohs、ないものをモース硬度計Mohs' hardness scaleというように使い分けていたが、現在ではその必要はなくなっている。
その後、ドイツの鉱物学者ブライトハウプトFriedrich August Breithaupt(1791―1873)が細分の必要を感じて補充し、滑石(硬度1)、石膏(または岩塩)(硬度2)、白雲母(しろうんも)(硬度2)、方解石(硬度3)、蛍石(硬度4)、燐灰石(りんかいせき)(硬度5)、スカポライト(硬度5)、長石(硬度6)、石英(硬度7)、トパーズ(硬度8)、コランダム(硬度9)、ダイヤモンド(硬度10)となったが、岩塩は自然と用いられなくなり、中間の白雲母とスカポライト(柱石)も特定の研究者以外は参考としなくなり現在に至っている。なお、白雲母やスカポライトは、「基準鉱物はほとんど固溶体をつくらないか、つくっても硬度に大きな影響を与えない」という条件から不適格となったという説もある。しかし、実質上これらは、化学組成変化によってさほど大きな違いは生じない。
[加藤 昭]
これら指準鉱物の絶対硬度(ビッカース硬度)の測定結果(V)とモース硬度(M)との間には
M=0.7
という関係が成立するとされている。ビッカース硬度(ビッカース硬さともいう)は一種の押し込み硬度で、研磨した鉱物の表面あるいは結晶面に垂直に正方錐(せいほうすい)状のダイヤモンド針を、先端を下にして重量をかけて押しつけ、生じた嵌入(かんにゅう)の痕跡(こんせき)の大きさを換算表で数値化したものである。加圧重量から得られ数字にkg/mm2をつけて表す。
[加藤 昭]
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