共同通信ニュース用語解説 「社会的養護」の解説
社会的養護
親の死亡や経済的な事情、虐待などの理由で、家族と暮らすのが困難な子どもを公的責任で社会が養育する仕組み。厚生労働省によると、約4万2千人が対象で、児童養護施設への入所が最も多い。里親家庭や、複数人を育てるファミリーホームで暮らす子もいる。児童養護施設出身者の約6割が高校卒業後に就職。社会に出た後のケアが課題となっている。
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親の死亡や経済的な事情、虐待などの理由で、家族と暮らすのが困難な子どもを公的責任で社会が養育する仕組み。厚生労働省によると、約4万2千人が対象で、児童養護施設への入所が最も多い。里親家庭や、複数人を育てるファミリーホームで暮らす子もいる。児童養護施設出身者の約6割が高校卒業後に就職。社会に出た後のケアが課題となっている。
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家庭にかわり、社会が子供を養育すること。おもに保護者のない児童、保護者に監護させることが適当でない被虐待児などを対象とし、公的な責任のもとに養育し保護するとともに、養育に困難を抱える家庭を支援する。社会的養護は、家庭養護と施設養護に大別できる。家庭養護とは、里親、ファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業)をさす。施設養護は、以下のような福祉施設への入所を前提とする。(1)乳児院、(2)児童養護施設、(3)情緒障害児短期治療施設、(4)児童自立支援施設、(5)母子生活支援施設、(6)自立援助ホーム、(7)児童家庭支援センター。
一般的にアメリカやヨーロッパでは家庭養護が主流であるが、日本では、家庭養護が養子縁組に等しく認識されてきた経緯があり、施設養護が圧倒的に多い。その一方で、障害や被虐待経験をもつ児童が増加していることから、家庭的な環境や個別的な関係が、養護において重要視されてきている。そのため、家庭における養育を委託する里親、養育者の住居で少人数の児童を養育するファミリーホーム、乳児院や児童養護施設への分園設置など、小規模グループケアの行える施設や体制が増加している。家庭養護を重視してきた海外の状況と比較すると、日本は集団養育を主体とするため、家庭的環境やプライバシーの不足、施設内でのいじめなど、さまざまな問題が指摘されている。また、日本の社会的養護は原則18歳までの仕組みになっていることから、高等教育機関への進学をあきらめざるを得ない場合が多く、支援不足も大きな問題である。
2015年(平成27)3月の厚生労働省の発表によれば、対象となる児童は全国でおよそ4万6000人。(1)里親は登録里親数9441世帯、委託里親数は3560世帯、委託児童4636人。(2)ファミリーホーム223か所、委託児童993人。(3)乳児院133か所、入所乳幼児3022人。(4)児童養護施設601か所、入所児童2万8183人。(5)情緒障害児短期治療施設38か所、入所児童1314人。(6)児童自立支援施設58か所、入所児童1524人。(7)母子生活支援施設247か所、入所3542世帯、児童5843人。(8)自立援助ホーム118か所、入所440人。全国の児童相談所における児童虐待に関する相談件数は、児童虐待防止法施行(2000年)以前の1999年と2012年を比較すると約6倍に急増している。日本は先進国のなかで、保護者と暮らせないために施設で生活する子供の割合が高い。国連などから改善を求められているものの、里親への委託が社会的に根づいていないことなどから、ほとんど変化はみられない。
[編集部]
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