神道(しんとう)教団の一つ。旧教派神道十三派の一つ。武蔵(むさし)国(東京都)梅田神明宮の神職井上正鉄(まさかね)が教祖。その教化活動が幕府より嫌疑を受け三宅(みやけ)島に配流となった正鉄が1849年(嘉永2)に同島で死去したのち、弟子たちがその教えを各地に広める。これは大きく二つのグループとなり、東宮千別(とうぐうちわき)(1833―1897)、村越鉄善(むらこしてつぜん)(1825―1908)らは、吐菩加美(とほかみ)講、身禊(みそぎ)講社を経て大成(たいせい)教所属の禊教を組織し、それとは別に1879年(明治12)に東京上野に井上神社を建立した坂田鉄安(かねやす)(1820―1890)らは、大社教所属ついで神道本局所属の惟神(いしん)教会禊社本院を1876年に組織。後者が1894年に一派独立して現在の禊教となる。初代管長は坂田安治(やすはる)。本部は東京世田谷(せたがや)区瀬田。神社数1、教会数25、布教所数46、教師数582、信者数8万8110(『宗教年鑑』平成26年版)。
[井上順孝]
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井上正鉄(まさかね)を開祖とする新興宗教。神道十三派の一つ。井上は白川家に入門し,神道の布教を行ったが,1843年(天保14)新義異流として三宅島に配流され,弟子が布教を行った。そのため布教内容は統一されず,72年(明治5)吐菩加美(とほかみ)講が結成されたが,翌年2派に分裂。1派は神道大成教と結び,1派は94年に坂田安治を初代管長として一派独立をはたしたものの,その後神道禊教や禊教真派に再びわかれた。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…(2)江戸時代後期に発達した富士信仰と木曾御嶽信仰の講を再編成した実行教,扶桑教,御嶽(おんたけ)教。(3)おもに明治初年に組織された惟神(かんながら)の道に立つ禊(みそぎ)教,神理教,神習教,大成教,神道修成派,大社教,神道本局(のち神道大教),神宮教。 第1の習合神道系創唱宗教では,黒住教は天照大神,太陽神を主神とする独自の民衆的神道説をかかげているが,天理教の天理王命,金光教の天地金乃神の信仰は,神社信仰を中心とする狭義の神道とは大きく隔たっている。…
…平安時代以降はもっぱら穢れを祓除する意味が強まり,密教系の垢離(こり)の観念にも習合して水垢離,浜垢離,寒垢離,滝行,水行などの修行形式に発展した。中世から近世にかけて修験道や社家神道でその行法を各地の祭礼神事に広め,幕末の神道家井上正鉄(まさかね)は伯家(はつけ)神道の禊法を採用して後の禊教の基をひらいた。【薗田 稔】。…
※「禊教」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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