福市遺跡(読み)ふくいちいせき

日本歴史地名大系 「福市遺跡」の解説

福市遺跡
ふくいちいせき

[現在地名]米子市福市

長者原ちようじやはら台地の北西端部の福市の丘陵一帯に広がる集落跡と墳墓群。昭和四二年(一九六七)住宅団地造成工事に先立ち発掘調査され、山市場やまいちば御所原ごしよばら・南御所原・四ッ塚谷よつづかだに青木向あおきむこう吉塚よしづか日焼山ひやけやまの七支群、東西五〇〇メートル・南北四〇〇メートルにわたり遺跡が確認された。住居跡・土壙墓・古墳横穴などの遺構が二一七基検出されている。このうち吉塚地区では竪穴住居跡八〇棟・柱穴群六群・土壙六基・土壙墓二基、日焼山地区では竪穴住居跡一〇棟・円墳一基・横穴一基・土壙墓二四基が確認され、未調査部分も含め三万九〇〇〇平方メートルが国の史跡指定を受け保存されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「福市遺跡」の解説

ふくいちいせき【福市遺跡】


鳥取県米子市福市にある集落跡。日野川と法勝寺川の合流点に位置する福市丘陵(標高25m)に遺跡が分布していることは古くから知られていたが、住宅団地造成工事に先立つ1966年(昭和41)からの発掘調査によって発見された。弥生時代後期から飛鳥時代にわたる集落と土坑墓を中心とする墓地からなり、山陰地方を代表する集落跡の一つである。遺跡は東西約500m、南北約400mに広がり、山市場、御所原、南御所原、四つ塚谷、日焼山、吉塚、青木向の7支群に分けられる。住居跡152、土坑墓28、古墳6、横穴14など、合計217の遺構が確認され、遺物土師器(はじき)を中心に須恵器(すえき)と弥生土器の壺、甕(かめ)、こしき、器台、土製支脚、玉類、武具などが多数出土した。山陰における古墳時代の住居構造、集落構成、変遷および土器編年を考えるうえで貴重である。吉塚と日焼山の2支群が1970年(昭和45)に国の史跡に指定された。これらは弥生時代後期(3世紀)から古墳時代中期(5世紀)にかけての集落跡と墳墓群で、土師器片の出土が約3万5000点で最も多く、弥生土器と須恵器が若干、土製紡錘車(ぼうすいしゃ)や土製獣首、鏡片、玉類、鉄器砥石(といし)など豊富である。発掘後に埋め戻され、史跡公園として公開、復元住居や遺跡の一部のほか、園内の福市考古資料館で出土品を展示している。JR山陰本線ほか米子駅から日ノ丸バス「安養寺入口」下車、徒歩すぐ。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の福市遺跡の言及

【米子平野】より

…台地表面は黒ボク土(多量の有機物を含んだ火山灰土)でおおわれているが,ここには数多くの遺跡が分布する。なかでも米子市の青木遺跡(史),福市遺跡(史)はそれぞれ弥生~古墳時代にかけてと古墳時代の集落遺跡として名高い。また重要な低地遺跡として,縄文時代から中世に至る遺物の重層する米子市の目久美(めぐみ)遺跡があげられる。…

※「福市遺跡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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