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秘密外交 ひみつがいこうsecret diplomacy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

秘密外交
ひみつがいこう
secret diplomacy

交渉過程が公開されない外交。国家間の対立する利害の調整が目的である外交には,説得,取引,圧力などの手段や妥協が不可欠であり,秘密で行われるのが原則である。しかし国民による政治の民主的統制を原則とする近代民主主義の精神から,少数者の専断や国民不在の謀議による決定は許されない。そこで第1次世界大戦中発表されたアメリカの W.ウィルソン大統領の十四ヵ条平和構想以来,公開外交必要性が叫ばれ,他方,議会による条約批准などを内容とする「議会的統制」の手続が各国に採用されてきた。しかし公開外交においても,そこには依然として限界があり,交渉の内容にいたるまで公開することは,実行上多くの困難があり,政府は一定の秘密部分を残さざるをえないのが実情である。

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デジタル大辞泉の解説

ひみつ‐がいこう〔‐グワイカウ〕【秘密外交】

国民に公表せず、政府当局のみによって秘密に行われる外交。

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大辞林 第三版の解説

ひみつがいこう【秘密外交】

国民に公開せず、政府当局者たちによって秘密のうちに交渉の進められる外交。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

秘密外交
ひみつがいこう
secret diplomacy

秘密主義を基調とする外交の意。古くから外交は、その交渉や、結果としての取決めは、国内外に対して秘密にしておくというのが一般的であった。しかし第一次世界大戦後は、外交の秘密主義は薄らぐ傾向にある。というのは、秘密外交は、ロンドン密約(1915)、サイクス‐ピコ協定(1916)のように、戦争につながりやすい権力政治(パワー・ポリティックス)の所産であり、外交を独占してきた帝国主義専制政治に付随する慣行であったが、こうした考え方は第一次大戦後、否定されてきたからである。とくに大戦末期の1918年にアメリカのウィルソン大統領が新しい外交のあり方を求めて発表した「十四か条」では、冒頭に秘密外交を排し公開外交を掲げたこと、あるいは革命後のソビエトの指導者レーニンが帝国主義諸国の秘密外交を暴露したことなどが契機となって、権力政治の否定、外交の民主化が各国の一般原則となり、外交の秘密主義は姿を消すようになった。
 しかし第二次大戦の戦後処理について多くの事項を米英ソ三国首脳の間で秘密裏に取り決めたヤルタ協定(1945)のように、外交の秘密主義は完全に消滅したわけではなく、各国の外交文書が一定期間後に公開され、秘密にされていた事実が明るみに出されて話題になることがある。[藤村瞬一]

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世界大百科事典内の秘密外交の言及

【外交】より

…外交官はこの目的の実現に奉仕すべき臣下であり,全権大使とは他国にあって国王を代理して交渉の任にあたるものとされたのである。〈宮廷外交〉の時代には,秘密外交方式は当然のこととされ,他国の国情のスパイから,宮廷内の反対派を籠絡(ろうらく)する陰謀工作や,軍事力の威嚇を用いる一方,賄賂や地位で誘う〈ムチとアメ〉の策略が使われるなど,多様な外交戦術が駆使された。大使は国王の代理者であるから,その任用には家柄・富・風采・社交術といった点が重視され,そのことは外交官一般の場合についてもいえた。…

※「秘密外交」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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