平均律(読み)へいきんりつ(英語表記)equal temperament

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

平均律
へいきんりつ
equal temperament

1オクターブを等分に分つ調律法。タイで使われている7等分平均律や,ヨーロッパで伝統的に使われている 12平均律などはこの代表であるが,特に後者をさしていわれる。これは,振動数比を,基音を1,オクターブ高い音を2とし,その中間を等分する。これによれば,5度は純正律よりやや狭く,3度は広くなるが,音律が平均であるためすべての転調が可能になるなどの多くの利点があり,18世紀以後の鍵盤楽器をはじめとした楽器の標準的な調律法になっている。

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デジタル大辞泉の解説

へいきん‐りつ【平均律】

オクターブを等分割した音律。また、純正律の微小音程を平均化し、実用的に使いやすくした音律。特に、オクターブを12等分した十二平均律は19世紀以降広く用いられている。

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百科事典マイペディアの解説

平均律【へいきんりつ】

各音の間隔が等分に分割された音階。7平均律(タイ),24平均律(アラビア)などもあるが,一般には,オクターブを12の〈平均半音〉に分割した〈12平均律〉をさす。これは半音の周波数比を(式1)としたもの。どの音からも音階が始められるので(転調が自由),ピアノなどの鍵盤(けんばん)楽器に採用されている。理論としては17世紀に完成,J.S.バッハが《平均律クラビーア曲集》を書いて普及した。転調・移調が容易な反面,純正律に比べると長・短3度(長・短6度)のずれが大きく響きが悪い。→エンハーモニック調律
→関連項目十二律

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世界大百科事典 第2版の解説

へいきんりつ【平均律 temperament】

オクターブを均等に分割した音律。歴史的には純正律を実用的に修正した音律を〈平均律〉といい,とくに半音の間隔を均等に配分した〈12平均律〉をいう。〈12平均律〉はすべての長・短調が演奏可能な実用的音階で,とくに18世紀以降の調性音楽の基礎となったのみならず,20世紀初めの十二音音楽もこの音律論を前提としている。自由な転調と移調,それに自由な和音進行を円滑に行うという必要性から生まれた音律法で,それぞれの音の振動数の比が12になるようにオクターブを12個の等しい半音に分割する。

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大辞林 第三版の解説

へいきんりつ【平均律】

オクターブを平均的な音程に等分割した音律。また、純正律の複雑な各音程を簡便にして実用的なものとした音律。オクターブを一二の半音に等分した十二平均律が、現在広く用いられている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

平均律
へいきんりつ
temperament英語
Temperaturドイツ語
tempramentフランス語
temperamntoイタリア語

音律の一種。一般的にはオクターブまたは特定のある純正音程を多等分割して平均化する音律方式をさすが、元来temperamentとは、ピタゴラス音律や純正律の算出法から生じる音のずれをわずかに加減して「調節された」音律を意味する。
 ヨーロッパでは中世以来ピタゴラス音律や純正律が用いられてきたが、和声法や調性の発達に伴いそれでは転調が困難で、とくに演奏時の音高調整が不可能な鍵盤(けんばん)楽器において著しい支障が生じ始めた。このため、多少響きの純正度は減じても調に対する適応力を拡大しようと登場したのが平均律である。15~19世紀には純正律を部分修正したさまざまな不等分平均律(中全音律など)が用いられたが、その間、16世紀にはオクターブを12半音に等分した12平均律が考案された。これは、五度定律法によって純正五度音程を12回重ねて得た音と基音とのわずかな音程のずれ(ピタゴラス・コンマ)を解消するために、1/12コンマだけ狭い五度を基本単位として閉じた五度圏を可能にしたものである。異名同音間の偏差がないため、12音鍵盤上の転調を可能にした。12平均律は、完全八度以外は純正律からずれている(とくに長短三および六度のずれが大きい)、また和声法上の協和・不協和音の区別が響きのうえで得られないなどの欠点はあるが、17、18世紀からしだいに実用化され始め、19世紀後半以降は他を駆逐して広く世界的に用いられるようになった。
 今日平均律というと、この12平均律をさすことが多いが、等分平均律にはそのほかにも各種あり、なかでももっとも純正律に近いものとして53平均律が重要である。中国では朱載(しゅさいいく)が1596年に、日本では中根元圭(げんけい)が1692年(元禄5)にすでに12平均律を算出・発表しており、西アジアでは今日独自の微分音的音律を表すものとして24平均律が用いられている。さらに、タイには七等分平均律、インドネシアには五等分平均律に近い音列が存在する。[川口明子]

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精選版 日本国語大辞典の解説

へいきん‐りつ【平均律】

〘名〙 オクターブを一二等分してできた音階で、すべての全音と半音の関係が二対一になっている。一九世紀中頃以降のピアノやオルガンなどはこの音律に調律され、近代音楽の基礎となっている。平均律音階。十二平均律。

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世界大百科事典内の平均律の言及

【気質】より

…人間ひとりひとりの特有な心理的特徴は,一般に性格と呼ばれるが,この性格が環境からの影響をうけて後天的に形成されるものであるのに対し,その基礎にあって生物学的に規定されていると考えられる生来性の特質が気質である。気質を表す英語temperamentなどの西欧語は語源的に〈ほどよく混ぜ合わせる〉という意味のラテン語temperareに由来しているが,これは,ヒッポクラテス以来,人間の性格類型を血液・胆汁・黒胆汁・粘液という4種の体液の混合のぐあいから考えたためである。このうち,血液が優勢ならば,陽気で快活な〈多血質sanguine〉が,胆汁が優勢ならば,短気で興奮しやすい〈胆汁質choleric〉が,黒胆汁が優勢ならば,陰気で憂鬱(ゆううつ)な〈黒胆汁質melancholic〉が,また粘液が優勢なら,鈍感で冷血な〈粘液質phlegmatic〉がそれぞれ生ずると信じられた。…

【人格】より

…心理学において両者を同義に用いる場合もあるが,区別して用いる場合には,人格(パーソナリティ)が知・情・意の全体的な統一性をあらわすのに対して,性格(キャラクター)は,そのうちの情意的な側面をさすのが普通である。 また,性格に似た語として気質temperamentがあるが,それは一般に性格の下部構造をなし,個人の情動的反応の特質を規定する遺伝的・生物学的な特性(神経系のタイプなど)をさしている。古代ギリシア以来,有名な〈多血質〉〈胆汁質〉〈黒胆汁質〉〈粘液質〉という気質の4類型があるが,そこには体液の混合の割合がその人の気質を決定するというヒッポクラテスに始まる古代ギリシア医学の考え方があった。…

【音律】より

…オクターブの分割によって得られるこれらの音程比は,自然倍音列内の音程比と一致する。一方,音程値には種々のものが提案されたが,今日最も普及しているのは,12等分平均律の半音を100セント(したがってオクターブは1200セント)とするセント値である。音程
【西洋】
 西洋における音律の歴史は,単旋律音楽から声楽ポリフォニーへの発展,鍵盤楽器の台頭,調の拡大など,音楽様式そのものの変化と深くかかわり合っている。…

※「平均律」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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