穂積郷(読み)ほづみごう

日本歴史地名大系 「穂積郷」の解説

穂積郷
ほづみごう

和名抄」東急本は「保都美」と訓ずる。千里丘陵東麓に上穂積かみほづみ・中穂積・下穂積(現茨木市)集落南北に並んでいるため、この郷の所在については、「日本地理志料」「大日本地名辞書」はいずれもこの付近と考え、異説はない。宝亀一一年(七八〇)西大寺資財流記帳(内閣文庫蔵)は、西大寺の所有する田園山野図のなかに島下郡穂積村の一巻があったと記す。保安元年(一一二〇)頃の摂津国正税帳案(九条家冊子本中右記裏文書)に記されている島下郡の西大寺還入田二四町余もこれと同一とみなせば、穂積郷内に西大寺の領田が奈良―平安期において存在したことになる。


穂積郷
ほつみごう

「和名抄」高山寺本・東急本のいずれも訓を欠く。摂津国嶋下郡穂積郷の訓には「保都美」(東急本)とあり、当郷を「ほつみ」としてよかろう。郷域について、「大日本地名辞書」は現一宮市東端域をあてる。「日本地理志料」は「尾張志云、穂積方廃、今穂積塚本村存、蓋合二邑也、按図亘勝栗、一色、浮野、布袋町、小折、加納馬場、曾本そもとの諸邑、称高雄荘、井上荘、是其地也」とし、現一宮市東端部に加えそれに接する江南市南端部をも郷域とする。


穂積郷
ほづみごう

「和名抄」本巣郡穂積郷の郷名を継ぐ中世の郷。現穂積を遺称地とし、一帯比定される。嘉元四年(一三〇六)六月一二日の昭慶門院領目録(京都大学蔵古文書集)に、室町院(暉子内親王)より伝来の所領の一として郷名がみえ、山城石清水いわしみず八幡宮別当尚清に寄進されていた。預所と考えられる重種の名が記される。


穂積郷
ほづみごう

「和名抄」所載の郷。「播磨国風土記」に穂積里がみえる。地名の由来は穂積臣の一族がいることによるといい、現滝野たきの町穂積が遺称地。風土記に地名起源説話が載る小目野おめのは穂積の南方、現やしろ野村の小部野のむらのおべのが遺称地。


穂積郷
ほづみごう

「和名抄」所載の郷。摂津国島下郡に同名郷があり、刊本は「保都美」とよんでいる。当郷もそれに倣うべきであろう。美濃国には「本簀郡栗栖太里」「山方郡三井田里」「加毛郡半布里」に穂積および穂積部が多くみえるが(大宝二年「御野国戸籍」正倉院文書)、その本拠地と思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android