長野県中西部、南安曇郡(みなみあずみぐん)にあった旧町名(穂高町(まち))。現在は安曇野(あづみの)市の北部を占める。旧穂高町は1921年(大正10)町制施行。1954年(昭和29)有明(ありあけ)、西穂高、北穂高の3村と合併。2005年(平成17)同郡豊科(とよしな)町、三郷(みさと)村、堀金(ほりがね)村、東筑摩(ひがしちくま)郡明科(あかしな)町と合併して市制施行、安曇野市となった。旧穂高町域は松本盆地の中央部に位置し、北アルプスの前山である常念山脈(じょうねんさんみゃく)の東麓(とうろく)で、梓(あずさ)川と高瀬川などの扇状地上にある。JR大糸線と国道147号(糸魚川(いといがわ)街道)が並行して南北に走る。中心集落穂高は近世には糸魚川街道の保高宿で、現在は農業と観光の町。近世から用水路による開拓が行われ、県下第一の米作地をなしている。高瀬川と梓川の合流点付近は地下水が豊富でワサビ栽培が行われ、観光地になっている。北部の有明山南麓は雑木林の原野で別荘地開発が進んでいる。中房(なかぶさ)川の上流には中房、有明、穂高の温泉がある。彫刻家荻原碌山(おぎわらろくざん)の作品を収蔵する碌山美術館、天蚕(てんさん)、ワサビ栽培の資料を展示する郷土資料館などがあり、式内社(しきないしゃ)穂高神社の御船祭(9月26、27日)は県の無形民俗文化財。「中房温泉の膠状珪酸および珪華(なかぶさおんせんのこうじょうけいさんおよびけいか)」は国指定天然記念物。
[小林寛義]
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