日本歴史地名大系 「竈戸関」の解説
竈戸関
かまどぜき
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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竈門関とも書く。現在の山口県熊毛郡上関町大字長島にあった中世の海関兼海港。竈戸の呼称は地形が竈に似ているためという。地名としての初見は10世紀半ばに黒作御贄(みにえ)をささげる竈門御厨(みくりや)で,この時代には熊毛半島,佐護島,馬島,長島に囲まれた天然の良港を利した海民の基地であった。平安末には京都上賀茂の別雷(わけいかずち)社領として竈戸関の名が見えるので,平安後期に良港でかつ周防沿岸航路を扼(やく)する位置にあるところから海関となったと思われる。東大寺文書によると13世紀後半には周防東大寺領の年貢はこの関の自由通行権を得ていたことがわかるが,こういう特権を持たぬ荷船はすべて関料をとられていたということでもある。中世後期になるともっぱら上関(かみのせき)と呼ばれるようになるが,これは大内氏の本拠である海の東を守る竈戸関と西を守る赤間関(あかまがせき)(下関)という対比からの呼称だろう。この時代には海運業も営まれ,兵庫津へ700石の米を運んだ大船も存在した。室町期には大内氏の支配下に入り,毛利氏の防長征圧(1557)後は毛利氏に握られた。
執筆者:木村 忠夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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