デジタル大辞泉
「竿灯」の意味・読み・例文・類語
かん‐とう【×竿灯】
8月3~6日の夜、秋田市などで行われる七夕祭りの行事。また、それに用いる、たくさんの提灯をつけた竹ざお。肩・額・腰などにのせて練り歩き、その技を競い合う。《季 秋》
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かん‐とう【竿灯】
- 〘 名詞 〙
- ① 八月五~七日の夜に、秋田市などで行なわれるたなばた祭の行事。また、そのときに用いる道具。長い親竹に九段に横竹を結びつけて、四六~四八個のちょうちんをぶらさげる。それを若者たちが肩、額などにのせ太鼓にあわせて町中を練り歩き、技をきそう。《 季語・秋 》
- ② 街灯。また、灯火。
- [初出の実例]「弁天島竿燈点火之義」(出典:郵便報知新聞‐一二号(1876)七月二六日)
- ③ 高張り提灯。竿の先に付けて高く掲げるようにした提灯。
- [初出の実例]「記旗(〈注〉マトヒ)を肩にする者、竿燈(〈注〉タカハリ)を手にする者、梯子を荷ふ者」(出典:江戸繁昌記(1832‐36)初)
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竿灯 (かんとう)
秋田県秋田市の七夕行事。1890年ごろ竿灯と称する以前は〈眠り流し〉と呼ばれ,夏に体のけがれや睡魔を水に流し払って活力を取りもどそうという習俗から生まれたものという。今日では観光行事化しており,8月5~7日の3日間行われる。十数mの竹ざおに9本の横竹を張り46または48個の高張提灯(たかはりちようちん)をつった重さ60kgほどの竿灯を手のひら,肩,腰で支えて立て,各町,グループの競演でにぎわう。文献的には津村正恭著《雪のふる道》(1788)が初見。豊年の稲穂の象徴というが,竹飾と台額(提灯飾をたくさんつけたもの)とさお芸の合体したものらしい。国指定重要無形民俗文化財。
執筆者:西角井 正大
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竿灯
かんとう
秋田県秋田市で 8月3~6日に行なわれる行事。長い竹竿に横竹を結び,46個のちょうちんをつるし,1人で持ち上げて曲芸風に操りながら街を練り歩く。病魔などの悪疫祓いの意味をもつ七夕のねぶり流し行事の一つで,本来は旧暦 7月6日に行なわれていた。竿灯という名は明治になってからで,江戸時代には眠り流しと呼ばれていた。寛政1(1789)年の津村淙庵著『雪の降る道』に初めて見え,文化11(1814)年の『秋田領風俗問状答』(→風俗問状答)には,力自慢の男が横木に 30個から 50個もの大灯籠をつるした長竹を片手で持ち上げ,それを男たちが取り囲み囃しながら街中を練り歩く様子が描かれている。竿灯の形は,新盆の家に立てられる高灯籠と関係があるとも考えられている。国指定重要無形民俗文化財。
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竿灯
かんとう
毎年8月3~6日の4日間、秋田市で行われる七夕(たなばた)行事で、東北三大祭りの一つとして知られる。10メートル余もある太い竹竿(たけざお)に横に9本の竹を結び付け、46個の提灯(ちょうちん)をぶら下げた飾りに点灯して各町内の若者たちが練り歩く。子供用の小形の竿灯もあるが、大人は重さ50~60キログラムにもなるのを肩、額、腰などにのせて妙技を競う。各町内の紋をつけた竿灯が夜空に百数十本も勢ぞろいする。竿灯の飾りは祭の終わりに川へ流すという習慣を伝えたり、かつて眠り(ねぶり)流しとよばれたことから、青森のねぶた祭などと同様の起源をもつ七夕行事であったことがわかる。また竿灯の形は稲穂をかたどり五穀豊穣(ほうじょう)の祈りが込められているものともいう。1804年(文化1)の『秋田紀麗(きれい)』、1751年(宝暦1)の『秋田昔物語』や菅江真澄(すがえますみ)によるものなど江戸時代の記録がある。
[神野善治]
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竿灯【かんとう】
秋田市その他で行われる七夕(たなばた)行事。秋田では8月3〜6日,長い竹竿(たけざお)に何段もの横木をつけて数十の提灯(ちょうちん)をつり,若者たちがこれを肩や額に載せて市中を練り歩く。観光的行事として年々盛大に行われるが,もとは〈ねぶた〉などとともに睡魔を払う七夕やお盆の流し行事の一つであった。
→関連項目秋田[県]|秋田[市]
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かんとう【竿灯】
秋田の日本酒。酒名は、東北三大祭りのひとつ「竿燈」にちなみ命名。「ひらり」は精米歩合40%で仕込む純米大吟醸酒。ほかに純米酒「秋田ねぶり流し」などがある。平成5、19~21年度全国新酒鑑評会で金賞受賞。原料米は秋田酒こまち、秋の精など。仕込み水は太平山麓の湧水。蔵元の「秋田醸造」は大正8年(1919)創業。所在地は秋田市楢山登町。
出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報
出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報
世界大百科事典(旧版)内の竿灯の言及
【ねぶた】より
…しかし,東津軽郡三厩(みんまや)村でのように,草ネブタといって木の枝に灯籠を下げたものを子どもたちが毎晩各家々を担いで回り,7日には海へ流すという素朴なものも各地で行われている。都鄙を問わず飾物には中にろうそくなどを点灯させ,これが元来は盆を迎えるための灯籠であったことをうかがわせ,秋田の[竿灯](かんとう)などと共通している。また,それを最後に海や川へ流すことも特徴である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」