ねぶた

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ねぶた

東北地方から北関東の各地で行なわれてきた旧暦 7月7日の行事の一つ。特に青森県で盛大な祭りとなっている。「ねぶた」の名は,睡魔を流しはらうとして豆の葉やネムノキの葉で眼をこすって流す「眠た流し」(「眠り流し」ともいう)の行事に由来するといわれるが,ネムノキを「ねぶた」と呼び,家の柱につけて悪魔を眠らせるというところや,7日早朝に子供が川で水浴びすることを「ねぶた」というところもある。いずれも悪疫をはらう意味がある行事で,これに盆行事の霊を送る火祭が結びついたものが,青森県内で盛大に行なわれているねぶた祭りと考えられる。東北三大祭の一つとして知られる青森市のねぶたは,勇壮な人物像などの灯籠を引き回すものだが,弘前市黒石市などでは,武者絵などを描いた「ねぷた」と呼ばれる扇形の灯籠をかついで町中を練り歩く。また,五所川原市では立佞武多(たちねぷた)と呼ばれる人物像の載る高さ 20mもの山車型灯籠を引き回す。秋田の竿灯も,本来は「眠り流し」と呼ばれており,ねぶたとはかたちは異なるものの,同じ種類の行事といえる。

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百科事典マイペディアの解説

ねぶた

青森,弘前など東北地方の七夕行事。弘前では〈ねぷた〉という。青森では8月2〜7日に行われ,竹,木,針金,紙などで作った大きな人形(ねぶた)に灯をともして町を練り歩く。7日には船に乗せて海上運行が行われる。坂上田村麻呂の蝦夷(えぞ)征伐の故事によるともいうが,元来は睡魔を払い流そうとしたもの。
→関連項目青森[市]竿灯弘前[市]

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世界大百科事典 第2版の解説

ねぶた

東北地方とくに青森県で8月(旧暦では7月)1日から7日まで続けられる飾物行事,またはその飾物。青森市では組ねぶた(人形ねぶた),弘前市では扇ねぷたなど,華麗な絵を描いた大きな飾物が作られ(弘前では〈ねぷた〉という),夏の観光行事となっているが,大型化したのは江戸時代の文化・文政期(1804‐30)ごろからといわれている。しかし,東津軽郡三厩(みんまや)村でのように,草ネブタといって木の枝に灯籠を下げたものを子どもたちが毎晩各家々を担いで回り,7日には海へ流すという素朴なものも各地で行われている。

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大辞林 第三版の解説

ねぶた

東北地方で行われる七夕行事の一。扇・人形・動物などの形に作った大きな灯籠に火を入れて引き回す。現在は八月一日から七日まで、青森市(ねぶた)・弘前市(ねぷた)を中心に行われるものが有名。ねぶた祭り。 [季] 秋。 → 眠り流し

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ねぶた
ねぶた

青森県弘前(ひろさき)市、青森市そのほか東北地方各地で行われる七夕(たなばた)の行事。8月1日から7日まで(もとは旧暦7月)。眠り流し、ねむた流しなどともいい、弘前市ではネプタと発音する。竹や針金で枠をつくって紙を張り、和漢の武者絵や歌舞伎(かぶき)狂言の場面を描き、中に灯(ひ)をともして屋台にのせて車で町中を引き回す。扇形の扇ねぶた、金魚形の金魚ねぶた、歴史上の人物を人形にした組みねぶたなどがあり、大きなものは30人もの若者がつく。最終日の7日には、眠り流しといって、もとは弘前市では岩木川へ、青森市では海岸へ流したり焼いたりした。若者たちは水浴して酒宴を開く。坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が蝦夷(えぞ)征伐のとき人形に兵を隠したとか、藩主が京都に滞在中、家臣が大灯籠(とうろう)を出して諸侯の評判を得たのが始まりであるなどの民間起源説がある。本来は七夕の禊祓(みそぎはらえ)の行事で、木の枝などで体をなでて流すと、罪穢(つみけがれ)が除去されるという呪術(じゅじゅつ)と、盆の灯籠流しとが結び付いて夜の行事になったのであろう。能代(のしろ)のしゃち流し、鶴岡(つるおか)のねぶり流しのほか、北関東から長野県、愛知県にも同類の行事があり、長崎県でもネムの木枝で体をなでて睡魔を祓う呪術がある。[井之口章次]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ねぶた

〘名〙 植物「ねむのき(合歓木)」の異名。
※俳諧・俳諧歳時記(1803)上「合歓(ネブタ)(〈注〉ねぶ)の花」

ねぶた

〘名〙 東北地方で行なわれる旧暦七月七日の行事の一つ。竹や針金でつくった枠に紙を張り、さまざまな人物や、歌舞伎狂言の場を極彩色で描いて、中に灯を点じ、屋台や車に載せて引き回す。盆に先だつ七日日(なぬかび)(=七夕)の行事の一つとして発展。現在は八月の一日から七日まで行なわれるが、特に青森市、弘前市(弘前では「ねぷた」と呼ぶ)を中心に津軽地方のものは盛大。ねぶたまつり。《季・秋》
[補注]種々の伝説があるが、ネブタとは「眠(ねぶ)たい」の語幹「ねぶた」から来た語で睡魔のことらしい。ネブタ(合歓木)を目にこすりつけ、「ネブタ流し何流し、豆の葉流してまめになれ、まなこの性によいように」(群馬県万場町)と唱えながら川に流すところからもそう考えられる。

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