国または地方公共団体の業務のうち、原則として権力的、支配的作用を伴わないものをいう。国の場合は、2003年(平成15)4月、かつて四現業とよばれていた造幣局(財務省造幣事業)、印刷局(財務省印刷事業)、国有林野事業、および総務省郵政事業のうち、造幣事業は独立行政法人造幣局に、印刷事業は同じく独立行政法人国立印刷局に移管され、郵政事業は日本郵政公社(2007年10月の民営化以降は日本郵政グループ)として独立したため、現業は国有林野事業だけとなった。当時、現業の職員に対して、労使面においては「特定独立行政法人等の労働関係に関する法律」が適用され、財政面からみると、特別会計という形で一般会計の枠外で扱われていた。特別会計もその性格によりいくつかに大別されるが、現業の特別会計は事業特別会計に入り、独立採算制をたてまえとし、会計経理の方法も企業会計にもっとも近い発生主義をとっていた。
[林 正寿]
2013年、国有林野事業が特別会計から一般会計に移管され国営企業でなくなったことにより、国の現業は廃止された。また、国有林野事業職員は非現業の国家公務員となり、「特定独立行政法人等の労働関係に関する法律」の適用対象から外れることとなった。同法は、対象が特定独立行政法人のみとなったことから、「特定独立行政法人の労働関係に関する法律」に改称。さらに2014年には特定独立行政法人が行政執行法人に変更されたことにより「行政執行法人の労働関係に関する法律」に改称された。なお、地方自治体については、現在でも清掃作業員、用務員、調理員など、地方公務員の現業職が存在する。
[編集部 2017年7月19日]
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…(3)独立採算制を原則としていること。これに含まれる機関としては,第1に政府現業がある。このなかには,大蔵省印刷局,同造幣局,農林水産省国有林野事業,郵政省郵政事業の四現業が含まれる。…
…このうち(1)は郵政事業と略称する。国営企業は国の現業部門である。国営企業に勤務する職員は,一般職の国家公務員である。…
※「現業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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