サケ,マスの卵巣,およびその塩蔵品。古くは〈はららご(鮞)〉〈はらら〉〈甘子(あまこ)〉とも呼び,現在は〈すずこ〉とも呼ぶ。卵巣膜に包まれたままのもので,卵粒をほぐしてばらばらにしたものがイクラである。塩蔵には,卵巣を洗って汚れを除き,飽和食塩水に浸漬(しんし)する方法と塩をふる方法とがあり,おもに前者が行われている。自然な朱色で,弾力性があり,卵粒のしっかりしたものが良品である。古くから珍重されたもので,《延喜式》には〈鮭子〉の名で信濃,越前,越中,越後などから貢納されていたことが見える。江戸時代には汁や煮物に多く使われたが,現在ではそのまま,あるいはダイコンおろしを添えて酒のさかななどとすることが多い。
→サケ
執筆者:平野 雄一郎
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…《吾妻鏡》には建久1年(1190)10月,上洛途次の源頼朝に佐々木盛綱が鮭の楚割を献じた記事があり,削って食べるものであったことも知られる。鮭子は卵巣で筋子(すじこ)と呼ばれるもの,氷頭は頭の軟骨で膾(なます)などの材料とした。背腸は〈みなわた〉ともいい,背骨の内側に付着している血のかたまりのような腎臓を塩辛にしたもので,現在〈めふん〉と呼ぶものである。…
※「筋子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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