糸織(読み)イトオリ

デジタル大辞泉 「糸織」の意味・読み・例文・類語

いと‐おり【糸織(り)】

絹のり糸で織ること。また、その織物平御召ひらおめし

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精選版 日本国語大辞典 「糸織」の意味・読み・例文・類語

いと‐おり【糸織】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「きぬいとおり(絹糸織)」の略 ) 絹の撚糸(よりいと)を、縦、横に用いて織った織物。
    1. [初出の実例]「糸織(イトオリ)の藍三筋(あいみすじ)」(出典人情本春色辰巳園(1833‐35)六)

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改訂新版 世界大百科事典 「糸織」の意味・わかりやすい解説

糸織 (いとおり)

絹織物の一種で,絹糸織の略。絹の練染糸(ねりぞめいと)を用いた平織無地,縞,絣などがある。かつては男女の着尺,羽尺,下着などの衣服や夜具地に使われた。糸織は緯糸に鉄とタンニン剤を使って質の向上をはかる増量をするものが多く,したがってさびた光沢の,節のない織物である。練って織るので当然,糸に撚りがかかっている。経緯糸ともに片撚りのもの,諸撚りのもの,経糸に諸撚り,緯糸に片撚りのものなどで経緯糸ともに同じくらいの太さの糸使いが普通である。織物組織を斜文,変化斜文を用いて織ったものを綾糸織と呼び,このほか,素材が玉糸使いのものを節糸織(節織,節縞),壁糸を織り込んだものを壁糸織という。可良糸織,高貴織,市楽織,八端織,黄八丈,大島などは糸織であり,なかでも諸糸織は良品とされる。広幅織物のタフタも糸織の類で,横浜から輸出されたので浜こはくとも呼ばれる。山形県米沢を主に各地で織られるが近年は小幅物の生産が少ない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「糸織」の意味・わかりやすい解説

糸織
いとおり

絹糸を使用した練織物略称。経緯(たてよこ)糸とも片撚(よ)りの練絹糸を使ったもので、平織にしたものを平糸織とも称した。組織、撚り方、原糸の違いにより、綾(あや)糸織、諸(もろ)糸織、壁糸織、節(ふし)糸織などがあり、縞(しま)、絣(かすり)または無地の着尺地(きじゃくじ)として使用される。練絹糸を使用しているので、織面は平滑で光沢に富んでいるのが特徴である。米沢(よねざわ)糸織(米沢織)がよく知られているが、京都では平お召(お召)とよんでいるものが、これに相当する。

[角山幸洋]

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百科事典マイペディア 「糸織」の意味・わかりやすい解説

糸織【いとおり】

経(たて),緯(よこ)とも絹の撚り糸を用いた織物の総称。絹糸織の略。普通は平織であるが,綾(あや)糸織や二重織の風通(ふうつう)糸織などがあり,織糸によって節(ふし)糸織,壁糸織などがある。柔らかく,なめらかで,おもに着物,羽織地とされる。主産地は京都市西陣,米沢,桐生,八王子,上田など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「糸織」の意味・わかりやすい解説

糸織
いとおり

精練,染色した生糸の撚 (よ) り糸で織った織物。平お召ともいう。平織が多いが,綾織などもつくられる。柔らかくて平滑で,女性の着尺地などに用いられる。西陣,米沢,八王子などが主要な産地。

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