納札(読み)ノウサツ

デジタル大辞泉 「納札」の意味・読み・例文・類語

のう‐さつ〔ナフ‐〕【納札】

[名](スル)社寺参詣して、記念祈願のためにふだを納めること。また、その札。納め札

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精選版 日本国語大辞典 「納札」の意味・読み・例文・類語

のう‐さつナフ‥【納札】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 神社や寺などに参詣し、記念や祈願などのために札(ふだ)を納めること。また、その札。→千社札
    1. [初出の実例]「近頃の千社参りは信心はそっち除で無芸無能のくせに納札(ノウサツ)で売名して」(出典西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉一〇)
  3. 年末に、その年にうけた社寺の札をまとめて、一か所の社寺に納めること。煤払いの日に行なうこともある。
  4. おさめふだ(納札)

おさめ‐ふだをさめ‥【納札】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 江戸幕府金蔵米蔵に金、米を納めた者に対して、金奉行蔵奉行が発行した受領書。〔地方凡例録(1794)〕
  3. 年末に、その年もらった御札をまとめて、一か所の社寺に納めること。《 季語・冬 》
  4. 社寺に参詣し、記念のために納める木や紙の札。

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改訂新版 世界大百科事典 「納札」の意味・わかりやすい解説

納札 (のうさつ)

巡礼者が霊場に参拝したしるしに納める札のこと。納め札,巡礼札ともいう。札の中央にその巡礼の名称,両側に出身地,名前,参拝年月日などを書くのがふつうである。納札を納めるところから巡礼の寺を〈札所(ふだしよ)〉と呼び,もとは木製の札を釘で打ちつけたため,札所に詣でることを〈札を打つ〉ともいうようになった。一方,巡礼者が通り過ぎる地域の人々にとっても,この札には大きな意味があった。たとえば四国地方では遍路(へんろ)の出盛りになると,沿道の村々が無料の接待所を設けて,遍路たちに金品を接待する。遍路はそれとひきかえに納札を一枚渡す。こうして集まった納札を縄の間にはさんで村の入口に張り渡し,魔よけとするのである。また接待宿を提供したときも納札をもらい,これを門口にはって同じく魔よけとする。つまり納札を介して地域社会と巡礼者は緊密に結びつき,その結びつきが巡礼の風習をささえてきたのである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「納札」の意味・わかりやすい解説

納札(のうさつ)
のうさつ

社寺に参詣(さんけい)する人が信心の意を表し、祈願や記念のため、札(ふだ)を納めること。札には生国、生年、姓名などを記入した。札は紙札、木札であるが金属製のものもあった。西国(さいごく)三十三所、坂東(ばんどう)三十三所などの霊場には巡礼者の札を納める札所(ふだしょ)が設けられていた。納札の風習はいつごろから始まったか不明であるが、古い物としては近江(おうみ)(滋賀県)の石山寺、陸中(岩手県)の中尊寺などに残された天文(てんぶん)年間(1532~55)のものが知られている。

 この納札の風習は、千社札というものが流行してくると、信心とは別に趣味的なものもでき、札にいろいろの趣向を凝らし、同好者の集まりなどで札の交換をするようになった。

[大藤時彦]


納札(おさめふだ)
おさめふだ

納札

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「納札」の意味・わかりやすい解説

納札
のうさつ

おさめふだ,千社札ともいう。社寺に参詣し,記念のため自分の姓名,住所などを記した札を納めたり,それを社殿などに張る風俗。またその札のこともいう。

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百科事典マイペディア 「納札」の意味・わかりやすい解説

納札【おさめふだ】

納札(のうさつ)

納札【のうさつ】

〈おさめふだ〉〈巡礼札〉とも。社寺を巡拝して自分の姓名を記した札を納めたり,はりつけたりすること。千社札はその例。

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