日本大百科全書(ニッポニカ) 「納蘭性徳」の意味・わかりやすい解説
納蘭性徳
のうらんせいとく
(1655―1685)
中国、清(しん)代初期の満洲族出身の詞人。初めの名は成徳、東宮の嫌名(けんめい)を避けて性徳と改名。字(あざな)は容若。清室と姻戚(いんせき)の名門に生まれた。1676年(康煕15)の進士。侍衛として康煕(こうき)帝の左右に仕え、一流の文人・学者と親交を結んだ。経学に精通し、『通志堂経解』は宋元(そうげん)の経学上の諸説を集大成したものである。また北宋の詞風を愛し、哀切で清新な北宋風の詞の作者としても知られている。詞集『飲水集』は生前に、のち『納蘭詞』5巻、補遺1巻が編集された。彼の墓誌銘は、その師で修書館総裁の徐乾学(じょけんがく)(1631―1694)が書いている。
[佐藤一郎 2016年3月18日]