江戸中期の思想家安藤昌益(しょうえき)(確龍堂良中(かくりゅうどうりょうちゅう))の著書。5巻5冊の原稿で、成立年代は不明。ただし、巻2の42章に再度「宝暦(ほうれき)二壬酉(じんゆう)年」(1752。壬酉は壬申(じんしん)の誤り)と記され、著述時代を推測させる。内容は、独自の気一元論、陰陽五行(いんようごぎょう)説に基づき、自然の無始無終性・無差別性、人と転定(天地)の合一性、米が万物の根源であることなどを主張し、階級的・身分的差別を批判している。巻1「糾聖失」は、儒教をはじめ老荘(ろうそう)、兵家(へいか)など中国の既成思想を批判。巻2「糾仏失」は仏教の批判。巻3「人倫巻」は人身、人倫の独自的解説。巻4「禽獣(きんじゅう)巻」は独自の草木、鳥獣虫魚観などを叙述。巻5「万国巻」は、世界諸国論、日本の風土的卓越性などを叙述。本書はこれまで稿本『自然真営道』の縮約版とみられたときもあったが、文章表現上の特徴は同じながらも、概念構成や内容上の異同があり、独立の別書と考えられる。1925年(大正14)に明治~昭和の思想家狩野亨吉(かのうこうきち)が東京の文行堂書店から入手し、一市井人依田壮介が第二次世界大戦の戦火から守り抜いた。現在は慶応義塾大学図書館所蔵。紙質が新しいので、原本でなく写本である可能性がある。影写本は京都大学図書館所蔵。
[三宅正彦]
『『統道真伝』上下(岩波文庫)』
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
安藤昌益(しょうえき)の社会理論書。4巻。1752年(宝暦2)頃成立。糺聖失・糺仏失・人倫巻・禽獣巻・万国巻からなる。「自然真営道」とともに,万人が直接生産者である社会を理想とし,封建社会における支配階級を「不耕貪食の徒」としてきびしく批判しており,昌益の思想の全体像を知ることのできる唯一の書。自然・法・男女をそれぞれヒトリスル・コシラヘ・ヒトとよませるなど独創性に富む社会理論が展開されている。「岩波文庫」所収。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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