企業が、その企業のすべての経営資産を利用し、どれだけ利益をあげたかを示す指標。英語の頭文字をとってROAと略称する。総資産と総資本は同じため「総資本利益率」とよばれることもある。企業の稼ぐ力(収益性)を測る指標の一つで、数値が大きいほど効率よく利益をあげていることを表す。「利益÷総資産」で算出する。利益として純利益を使うのが一般的であるが、営業利益や経常利益を使う場合もあり、それぞれ総資産営業利益率、総資産経常利益率とよばれる。総資産利益率=「利益÷売上高」×「売上高÷総資産」と分解でき、「売上高利益率」と「資産回転率」の積とみることができるため、収益性と効率性を同時に示す指標といえる。総資産利益率を改善するには、総資産を構成する株主から預かったお金(資本)の有効活用、不稼動や非効率な資産の削減、借入金の有効活用などがある。企業の稼ぐ力をみる指標として自己資本利益率(ROE)とともによく利用されており、同業種のライバル企業との比較に使われることが多い。仮にA社とB社の自己資本利益率(ROE)が同じでも、A社に比べてB社の借金が多ければ総資産利益率(ROA)はA社よりもB社が低くなり、両指標を見比べることが重要であるとされる。また自己資本利益率は利益が増えなくても、自社株買いなどの資本政策で自己資本を減らして数値を大きくみせることが可能であるが、総資産利益率は資本政策による調整余地が小さい。このため日本政府は日本の大企業の稼ぐ力を伸ばすため、2017年(平成29)の成長戦略で、2025年までに欧米企業と遜色(そんしょく)ない水準まで引き上げる大企業の数値目標として、総資産利益率を選んだ。
[矢野 武 2019年3月20日]
出典 株式公開支援専門会社(株)イーコンサルタント株式公開用語辞典について 情報
出典 M&A OnlineM&A用語集について 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新