縊・括(読み)くびる

精選版 日本国語大辞典 「縊・括」の意味・読み・例文・類語

くび・る【縊・括】

[1] 〘他ラ五(四)〙
[一] (縊・絞)
① 首を絞めて殺す。しめころす。絞殺する。
書紀(720)舒明即位前(図書寮本訓)「門に出でて胡床(あくら)に坐て待つ。時に軍至りて乃ち、来目の物部の伊区比に令(のりこと)して絞(クヒラ)しむ」
刑罰の一つ。絞首刑にする。
※書紀(720)大化五年三月(北野本訓)「蘇我の山田の大臣に坐りて戮さるる者〈略〉秦の吾寺等凡て十四人。絞(クヒ)らるる者九人」
[二] (括)
① (中ほどを挟み持つように)強くにぎる。しっかりとつかむ。かたく持つ。多く「取りくびる」の形で用いられる。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「れいよりもさうぞくうるはしくして、笏(さく)取りくびりてぞ、練りいでにたりし」
② ひもなどでくくりしめる。
人情本・恩愛二葉草(1834)三「手拭にて咽(のんど)を縊(クビ)られ、打伏して息も絶えたる様子
花間鶯(1887‐88)〈末広鉄腸〉中「手早く両脚をくびり猿轡(さるぐつわ)をかませ」
[2] 〘自ラ下二〙 ⇒くびれる(縊)

くび・れる【縊・括】

〘自ラ下一〙 くび・る 〘自ラ下二〙
① (縊) 自分で首をくくって死ぬ。
※書紀(720)天武元年七月(北野本訓)「是に大友皇子、走げて入らむ所無し。乃ち還りて山前に隠れて自ら縊(クヒレ)ぬ」
② (括) 中ほどが細くなる。中ほどが細くせばまる。
※米沢本沙石集(1283)五本「中はくびれ前後かたちあるを云なり」
③ 柔らかい物をしばったときにできる筋目のような皺(しわ)ができる。
※解剖室(1907)〈三島霜川〉「花びらのやうな唇は紅く、腭(あご)赤子の其のやうにくびれてゐた」
④ きびしくなる。ゆとりがなくなる。
柳橋新誌(1874)〈成島柳北〉初「今の君子は、其の論太だ緻(〈注〉こまか)、其の行太だ絞(〈注〉クビル)にして」

くびれ【縊・括】

〘名〙 (動詞「くびれる(縊)」の連用形名詞化)
① 中ほどが、細くせばまっていること。また、その部分
故旧忘れ得べき(1935‐36)〈高見順〉一〇「赤ダコの胴体は牛乳瓶のやうに丸く、腰のくびれが全くといっていいほど無かったから」
② 柔らかい物などをしばったあとにできる筋目。また、それに似た皺(しわ)
※大道無門(1926)〈里見弴〉白緑紅「脂肪肥りで縊(クビ)れのはいるやうな盆の窪」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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