(読み)はね(その他表記)wing

翻訳|wing

普及版 字通 「翅」の読み・字形・画数・意味


10画

[字音]
[字訓] はね・ただ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(支)(し)。〔説文〕四上に「なり」とするが、昆虫の羽などをいう字で、翅(しぎ)とは羽ありをいう。は分岐するもの、左右の両翅をいう。副詞の「ただ」の意に用いるのは、声の仮借である。

[訓義]
1. はね、つばさ。
2. 翅翅は、とぶさま。
3. (し)と通じ、ただ、ただに。

[古辞書の訓]
名義抄〕翅 ツバサ・ハネ・ヒヒル・トブ・ハカル・カギル 〔字鏡集〕翅 トブ・ハカル・ツバサ・ハネ・カザキリハ・ハ・カギル

[語系]
翅sjieは・肢・枝tjieと声近く、みなの声義を承ける。「ただ」の義に用いるものは、sjieと同声。只tjie、止tji、巳jiなどみな声近く、その義に用いる。

[熟語]
翅羽・翅影・翅・翅菜・翅翅・翅人翅翼・翅
[下接語]
羽翅・遠翅・開翅・解翅・鶴翅・翕翅・矯翅・鼓翅・広翅・四翅・弱翅・収翅・秋翅・翅・舒翅・振翅・垂翅・青翅・折翅・雪翅・双翅・短翅・長翅・鳥翅・展翅・騰翅・比翅・飛翅・尾翅・奮翅・鳳翅・毛翅・揺翅・翼翅・鸞翅・両翅・斂翅

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改訂新版 世界大百科事典 「翅」の意味・わかりやすい解説

翅 (はね)
wing

多くの昆虫の成虫には翅が4枚(中・後胸部に各1対)ある。体壁の背側部が左右に伸長してできたものであるが,一般に薄い膜質で,その中には筋肉がなく,気管から変化した脈が走っている。古生代に生息した原始昆虫のなかには前胸も伸長しているものがあるが,翅は広げたままで,滑空できる程度であった。その後,しだいに前翅(ぜんし)・後翅分化が起こり,たたみこめるようになり,飛翔(ひしよう)能力を獲得することによって生活圏や分布を広げ,昆虫類の現在の繁栄をもたらした。現存の無翅昆虫のなかでも,個体発生のある時期(ノミではさなぎ期)には小さい翅状突起がみられる。甲虫目(鞘翅(しようし)目)では前翅が硬化して翅鞘,直翅目(バッタ類)ではやや硬化して覆翅,半翅目(カメムシ類)では基半部だけが硬化して半翅鞘となる。双翅目(ハエ類)では後翅が平均棍となり,飛行中の平衡を保つのに役だつ。トンボやバッタは前翅・後翅を別々に,チョウハチは同時にはばたく。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「翅」の意味・わかりやすい解説


はね
wing

昆虫類にそなわる飛翔器官。鳥類のものに対しては羽の字,あるいは翼 (つばさ) の語をあてる。普通は中・後胸に各1対あり,中胸のものを前翅,後胸のものを後翅という。翅の基部下面は背板に下面は側板に連結し,翼筋の収縮運動により振動し飛翔する。翅の振動数は昆虫の種によって異なり,前翅と後翅の振動数も異なるものが多い。カなどでは毎秒 1000回以上の振動数になることが,羽音の高さからわかる。翅には大小の管状の翅脈が走り,その配列の様相は昆虫のグループによってさまざまで,分類の基準となる。多くの昆虫では翅の表面は鱗片や毛でおおわれ,これらが種に特有の斑紋や色彩を形成する。また甲虫類 (鞘翅目) では上翅が革質化して鞘翅となり,ハエ類 (双翅目) では後翅が,ネジレバネ (撚翅) 目では前翅が退化して平均棍に変化している。

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百科事典マイペディア 「翅」の意味・わかりやすい解説

翅【はね】

昆虫類に特有な飛行器官。原則として中胸と後胸に1対ずつあり,中胸に生ずるものを前翅(ぜんし),後胸のを後翅という。皮膚が袋状に膨出し,表裏がくっついて扁平になったものと考えられる。所々に翅脈と呼ばれる管状の隆起が走り,この中を気管や神経が通り,血液が流れる。不完全変態類では翅の原基は幼虫期に体表に突出しているが,完全変態類では逆に体内に陥入しており,蛹(さなぎ)の時期に体表へ現れる。翅の特徴は昆虫類の分類の大きな指標で,甲虫類では前翅が硬化して鞘翅(しょうし)に,半翅(はんし)類では基半部だけが硬化し,鱗翅(りんし)類は翅が鱗片でおおわれ,双翅類では後翅が平均棍になる。
→関連項目昆虫

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デジタル大辞泉プラス 「翅」の解説

鈴木満による詩集。1986年刊行(国文社)。1987年、第20回日本詩人クラブ賞を受賞。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【羽毛】より

…鳥類の体をおおっている表皮の変形物で,発生学的には哺乳類の毛や爬虫類のうろこと相同である。しかし,羽毛はすべての鳥類に存在し,鳥類以外の動物にはまったく見られないので,鳥類の重要な特徴となっている。羽毛はその形態によって,正羽,綿羽,半綿羽,糸状羽,粉綿羽(ふんめんう)の5種類に分類できる。正羽contour featherは1本の羽軸rachisとその両側の羽弁vaneより成り,羽弁は多数の羽枝barbおよび羽小枝barbuleからできている。…

【翼】より

…羽根,つばさともいう。空気など流体の中を動き,または風や流れを受けたとき,大きな揚力を発生することをおもな目的としたもので,航空機を空に浮かべる役割を果たす。航空機のうち飛行機やグライダーの翼は機体と一体となっており,機が前進すると風が当たって揚力を生ずるもので,固定翼と呼ばれる。これに対しヘリコプターなどの翼は軸に取りつけられ,回転させると風が当たり揚力が出るもので,回転翼あるいはローターという。…

※「翅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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