職務命令(読み)ショクムメイレイ

デジタル大辞泉 「職務命令」の意味・読み・例文・類語

しょくむ‐めいれい【職務命令】

上司部下公務員に対して職務を指揮するために発する命令訓令通達ほか口頭による命令など。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「職務命令」の意味・読み・例文・類語

しょくむ‐めいれい【職務命令】

  1. 〘 名詞 〙 上司が部下の公務員に対して職務を指揮するために発する命令。訓令・通達のほか、口頭によることもある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「職務命令」の意味・わかりやすい解説

職務命令 (しょくむめいれい)

階統制をなした組織において上級者が下級者に対し,その職務の遂行のために発する命令をいう。職務命令という用語は主として公務員関係において用いられ,私的労働関係においては業務命令と呼ばれることが少なくないが,その本質的性格は同一である。いわゆる一般職の公務員は,現行法上,〈上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない〉とされている(国家公務員法98条1項,地方公務員法32条)。この場合の〈上司の職務上の命令〉が職務命令である。職務命令を発することのできる権限職務命令権という。職務命令は組織上の地位を与えられている特定または不特定の職員に対する命令である点において組織またはその機関そのものに向けられた訓令や通達とは異なるが,訓令・通達は同時に職務命令の内容をなすことがある。職務命令が有効に発せられるためには,上級者が下級者の職務について指揮監督権を有し,その内容が下級者の職務に関するものであること,憲法および法令に抵触しないことが必要である。下級者の職務が上級者の指揮命令に服さない性格のものである場合(職務上の独立)には,上級者はこの職務の範囲に関し職務命令を発することができない。これらの要件を欠く職務命令は違法である。違法な職務命令であってもとくに公務員についてはその違法性が重大かつ明白である場合を除いては,下級者はその職務命令に従わなければならない。これは階統的な職務遂行秩序を確保するためである。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「職務命令」の意味・わかりやすい解説

職務命令
しょくむめいれい

上司が部下の公務員に対し、広くその職務に関して発する命令の総称書面(訓令、通達)によると口頭(訓示)によるとを問わない。行政組織は上下の命令服従関係を構成しつつ一体となって行政目的を追求する関係にあるから、公務員は上司の適法な職務命令に服従する義務があるだけでなく、違法な職務命令にも服従しなければならない。ただし、犯罪となるような行為を命令するなど、その違法性が重大で明白な場合には無効なものとして服従を拒否することができるし、拒否しなければならないことはいうまでもない。なお、職務命令の効力は直接、抗告訴訟で争うことはできず、他の訴訟の前提問題として、たとえば職務命令不服従を理由とする懲戒処分の取消訴訟においてだけ争うことができる。

[阿部泰隆]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「職務命令」の意味・わかりやすい解説

職務命令
しょくむめいれい

行政組織上,公務員の職務に関し上司が部下の公務員に対して発する命令。文書によると口頭によるとを問わない。公務員は,適法な職務命令には忠実に従わなければならず (国家公務員法 98条1項,地方公務員法 32) ,これに違反すれば懲戒 (→懲戒処分 ) の対象となる。公務員を,その職務に関して個人として拘束するにとどまる点で,訓令と異なる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android