地方公務員に適用される一般法かつ基本法。昭和25年法律第261号。地方公務員の職を一般職と特別職に分け、前者にのみ本法を適用する。地方公共団体には人事機関として人事委員会または公平委員会が置かれる。前者は都道府県、政令指定都市に置かれるほか、その他の市にも置くことができる。職員に適用される地方公務員法上の基本原則としては、平等取扱の原則、競争試験の採用方法、給与・勤務時間などの勤務条件条例主義、身分保障の原則などがあり、公務員の義務として、法令・上司の命令服従義務、信用失墜行為の禁止、守秘義務、職務専念義務、政治的行為の制限、争議行為の禁止、営利企業の従事制限、身分保障の例外としての分限および懲戒、定年などが定められている。さらに、公務員の救済手段である勤務条件措置要求、不利益処分に対する不服申立てや職員団体について詳細な規定がある。本法の付属法としては、教育公務員特例法、地方公営企業法、地方公営企業労働関係法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、地方公務員災害補償法、地方公務員等共済組合法などがある。
[阿部泰隆]
一般の地方公務員に関する基本法。1950年公布。日本国憲法が公布され(1946年11月3日),その第8章に地方自治の保障が盛りこまれたことを受けて翌1947年,地方自治法が公布されたが,地方公務員制度の整備は必ずしも同一歩調では進まなかった。地方自治法が制定される以前は,まだ地方公務員という統一概念はなく,府県制,市制,町村制のなかで府県吏員,市吏員,町村吏員とされ,雇用人や嘱託等は私法上の雇用契約によるものとして官吏に対して身分的に差別されていた。このような状況を大きく変えたのは,地方自治法の制定であったが,憲法および地方自治法の定める〈地方自治の本旨〉と近代的公務員制度の理念を具体化したのが,地方公務員法の制定であった。
この法律は,基本理念として,〈地方自治の本旨〉の実現と近代的公務員制度の確立を掲げた。近代的公務員制度の理念は,公務の公開・平等性,成績主義,政治的中立性の確保,専門的客観的人事行政の確立にあった。
この理念を具体化するため,この法律は,地方公務の種類,人事機関などを定めるとともに職員に適用される基準,権利と義務あるいは責任,分限・懲戒,研修や厚生制度,不利益処分に対する救済制度,職員団体に関する規定など体系的な構成をとっている。特徴はつぎの点にある。第1に,勤務関係における平等性と客観的人事行政の確立(平等原則-13条,任用の根本基準-15条,成績主義-15条,18条等),第2に,全体の奉仕者性を確保しうるための服務(義務)の体系化(服務の根本基準-30条,服務の宣誓-31条,法令および上司の職務上の命令に従う義務-32条,信用失墜行為の禁止-33条,守秘義務-34条,職務専念義務-35条,政治的行為の制限-36条,争議行為の禁止-37条,営利企業への従事制限-38条),第3に,職員の権利の保障(勤務条件に関する措置要求-46条以下,不利益処分に関する不服申立て-49条以下,厚生福利制度-42条以下,団結権・団体交渉権の保障-52条以下)などである。
→公務員
執筆者:佐藤 英善
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…私立学校の学長,校長,教員等は公務員ではないので含まない。教育公務員は,一般法としての国家公務員法,地方公務員法によって規律されるが,特別法としての教育公務員特例法(1949公布)により,その身分,職務が特に保障されている。主要な特例としては以下のものがある。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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