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腎疾患とは じんしっかんとは

食の医学館の解説

じんしっかんとは【腎疾患とは】

《どんな病気か?》


〈腎臓の炎症が悪化すると全身に毒素がまわる〉
 腎臓(じんぞう)は、血液をろ過し、尿をつくって老廃物とともに体から排泄(はいせつ)するたいせつな役割をになっています。腎疾患(じんしっかん)には急性腎炎(じんえん)、慢性腎炎、腎盂炎(じんうえん)、ネフローゼ症候群、腎不全(じんふぜん)・尿毒症(にょうどくしょう)などがあり、むくみや倦怠感(けんたいかん)をともないます。
 同じ腎臓の炎症でも、上気道(じょうきどう)の細菌感染が原因で、尿をつくる糸球体(しきゅうたい)という部分に炎症が起こるのが腎炎、尿道からの細菌感染で尿の集合場所である腎盂で炎症が起こるのが腎盂炎です。また、腎炎などが原因で、たんぱく尿がでて、その結果、血液中のたんぱくの減少がみられるものをネフローゼ症候群と呼びます。
 腎炎が悪化すると、腎臓の機能が低下して腎不全となり、腎不全のために本来排泄されるべき老廃物が体にたまってさまざまな症状が現れるものが尿毒症です。
 腎機能の低下がすすんでいくと、透析療法や腎移植が必要となってきますが、食事療法と安静によって、病気の進行をかなり抑えることができます。

《関連する食品》


〈症状により、制限されるものと摂取すべきものがかわる〉
○注意すべきこと
 腎疾患の食事療法でコントロールするのは、ナトリウム(塩分)、たんぱく質、カリウム、水分、エネルギーの5つです。
 ナトリウムの摂取量は症状によってかわりますが、いずれにしても、健康な人よりもひかえる必要があります。
 腎機能が低下すると、たんぱく質の老廃物が体外に排出されにくくなるので、基本的にはたんぱく質もひかえ、そのために不足しがちなエネルギーは、糖質や脂肪の多い食品で補います。
 ただし、たんぱく尿がでた場合は、逆に体内のたんぱく質がたりなくなるため、高たんぱく食にし、脂肪は減らします。
 むくみがあったり、尿量に減少がみられるときは水分も制限しますが、利尿剤を服用しているときは、脱水症状を起こさないように水分を十分に補給します。
 また、尿が減っている場合は、体内のカリウムの排泄がとどこおり、高カリウム血症を起こしやすくなるので、カリウムも制限します。しかし、それ以外については、利尿作用のあるカリウムをたっぷりとって、尿の濃度を薄め、腎臓への負担を軽くします。
 このように、腎疾患では、症状によって同じ成分でも制限される場合と、積極的にとったほうがよい場合とがあります。
 このようなことから、医師の指導にしたがって、正しい食事療法を行うようにすることがたいせつになります。
〈青背魚のIPAを適量摂取する〉
○栄養成分としての働きから
 腎疾患に共通して有効な成分には、IPA(イコサペンタエン酸)やグリシニン、シトルリン、カリウム(尿が減っている場合を除く)があります。
 IPAはハマチやイワシ、サバといった背の青い魚や、キンキ、マグロのトロなどの脂肪の多い魚に含まれる脂肪酸で、糸球体や腎盂に起こった炎症を抑え、腎臓を保護する作用があります。
 炎症は、プロスタグランジンやロイコトリエンといった化学物質が作用して起こりますが、IPAには、これらの物質の生成を抑制する働きがあるのです。
 また、腎不全で透析治療を受けている人は、動脈硬化症を併発している場合が多いのですが、IPAには血液の流れをよくする作用もあり、動脈硬化の改善にも役立ちます。
〈ダイズのグリシニンが中性脂肪、コレステロールに効く〉
 グリシニンは、ダイズやダイズ製品に含まれるたんぱく質で、中性脂肪やコレステロールを下げる働きがあり、脂質異常症をともなう腎疾患に有効です。
 ただし、IPAを含む魚やグリシニンを含むダイズが有効といっても、たんぱく質のとりすぎにならないよう、総摂取量には注意が必要です。
〈カリウム、シトルリンを含むスイカは腎疾患に最適〉
 昔から、スイカやトウガンといった水分の多い野菜やくだものは、腎臓病に効くといわれてきました。尿の量がふえれば、尿が薄まるわけです。
 薄くて老廃物の少ない尿を少しずつろ過するほうが、少量で濃い尿をろ過するよりも腎臓にとって負担が少ないのです。
 とくにスイカには、利尿作用のあるカリウムや、腎臓の細胞を修復する働きのあるシトルリンというアミノ酸も含まれています。
 したがって、スイカが腎臓病にいいというのは、科学的にみても理にかなっているのです。
 カリウムはほかに、トマトやアボカドなどの野菜、アズキ、干し柿など幅広い食品に含まれていますが、熱には強い反面、水に溶けやすいという性質があり、ストレスや慢性的な下痢、利尿剤の長期使用などによっても減少します。
 水分やカリウムが制限されている場合以外、夏場には、スイカを積極的に食べるといいでしょう。

出典 小学館食の医学館について 情報

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